「パンダ返還後、中国からは何の接触もありません」 ゼロ・パンダでも観光客増加 和歌山「白浜町長」が語るこの1年 「役場に抗議電話が相次ぎましたが、今は…」
中国サイドからの接触は
前編で述べたように、大江町長は県会議員、国会議員時代を通じての「親台湾派」であり、一昨年、町長に当選した後も、中国・成都市内の行政区から受けた友好都市提携の申し出を断り、南紀白浜空港に台湾からのチャーター便就航を進めるなどの施策を取ってきた。真相は不明だが、そのことが返還の原因と見る報道もあった。それゆえ、返還当初は厳しい批判を浴びたという。
「町に抗議電話がよく来ましてね。“町長が台湾と仲良くやっているのが原因だ”“台湾、台湾と言いすぎだ”と。しかし、個人の政治スタンスでパンダを貸す貸さないが決まるほど、私は大物ではないんですが……。“何で友好都市の提携を結ばなかったのか”などとも言われましたし、“そんなに金がないのか”とも。しかし、貸与の契約をしているのは、町ではなく、アドベンチャーワールドです。貸与のための保護資金を支払っているのもアドベン。しかし、それを知らない町民からは、 “寄付でもいいから金を集めろ”とも……」
しかし、その後、今年1月に上野動物園のパンダが契約切れで中国に返還されるなど、パンダの持つ「政治性」が浮き彫りになっていくに連れ、そうした声も収まってきたという。
「皆さん冷静に事実を受け入れてくれるようになった。私も一貫して“パンダに頼らない町”を目指そうと言い続け、徐々にですが、理解していただけるようになってきました。”“ポスト・パンダ”の動きがやっと本格化していったんです」
ちなみに中国サイドからは、その後、接触があるのだろうか。
「いえ(笑)。その後は友好都市の話も一切言ってこなくなりました」
新たな観光モデルを
町長は改めて言う。
「30数年前以前は、白浜にパンダはいなかったんです。それでも観光の町としてやってこられた。もちろんパンダがいなくなったのは痛手ですが、それで町の観光が成り立たなくなるわけがない。2030年には大阪でIRが始まる予定です。ここからさらに白浜に観光客を呼び込めるはず。パンダの不在は残念ですが、それまでに、中国に頼るのではなく、自前で足腰をしっかり固めて、新たな町を、新たな観光モデルを作り上げていきたい」
【前編】では、パンダ返還でも町内の観光客数に影響が少なかった理由を、さらに深掘りしている。
[2/2ページ]

