AIの台頭で相次ぐ「フリーライター」の“廃業”…フリーランス歴25年のネット編集者が「それでも夢のある職業」と語る理由

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 9月1日、日経電子版で「フリーランスから正社員へ、AI台頭で回帰の動き 企業も積極採用」という記事が配信され、ライターや編集者など、フリーランスとして働く人々の界隈がざわめき立った。かく言う私もその一人。記事を読んで、我ながらフリーランスという「キングオブ・ザ・不安定職種」のような職業を、よくぞこの25年も続けられたものだと感慨に耽ってしまった。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】

面倒なことを喜んでやるのがフリーライター

 さて、この日経の記事への界隈からのリアクションとしては、「私の知人がライターをやめて正社員になった」といった報告のほか、「私もフリーライターを廃業します」といった宣言など、実に哀愁の漂うものが散見され、非常に寂しく思った。もっとも、血気盛んな若い頃の私は同業者に対して、「さっさとやめてしまえ」などと呪いをかけていたものだが。私も丸くなったものである。

 さて、ではなぜ今、フリーランス、そしてフリーライターの職を辞める人が増えているのか。日経の記事によると、AIが台頭し、フリーの人々が担ってきた仕事を代替させることが可能になったから、ということも大きいらしい。いかにも令和な理由である。

 当事者の一人である私なりにフリー廃業が増えた理由を述べるとしたら、身も蓋もない言い方で恐縮ながら、単に「儲からなくなった」ということである。1990年代、雑誌の黄金期に活躍したフリーライターの先輩諸氏の話に耳を傾けると、羽振りのいいエピソードが出てくる。例えば、

「フリーライターと名乗って働いていたら、文化人扱いされ、謎の講演会に全国各地から呼ばれた。年に20回ぐらい、毎回同じ話をして一回につき50万円のギャラをもらっていた」

 などといったものだ。このように、かつてはフリーライターという職業は儲かる職種の一つだった。もちろん、こんないい話は、今はなかなか見つからない。それだけ、広告・雑誌・出版業界といった、フリーライターが活躍できる業界自体が、落ち込んでしまったということであろう。

 ところでフリーライターは、専門職でもなんでもない。もちろん、「テクニカルライター」や「グルメライター」「ガジェット系ライター」などの専門職は存在する。だが、基本は「なんでもやります」というスタンスこそがフリーライターの正しい在り方であり、こういう人しか生き残れない。「私はガジェット以外の仕事はしません(キリッ」なんてフリーライターはいずれ仕事を干されることに。なぜかといえば、ライターが発注元から重宝されるのは、「面倒くさいことを『喜んで!』とやってくれる」からである。

 つまり、居酒屋の店員さんが、客から何かを頼まれたら「喜んで!」と言うような感じで、どんな無茶振りであろうが喜んで引き受け、やり、書くのがライターの本質なのである。

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