「本日ただ今から横内さんをイジるのはやめましょう!」 ギネス記録樹立の俳優「横内正」、ピンチを救ったカリスマ占い師の“ズバリなひと言”

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離婚騒動を経て

 そんな時代を経て、新劇出身俳優として、本来の舞台の仕事に戻ってからが、前後の“後”である。

 5年前、「死ぬまでにやりたいこれだけのこと」というテーマでインタビューした時のこと。シェイクスピア4大悲劇の2つ「リア王」と「マクベス」を同時上演するという、ある意味、無謀ともいえるチャレンジだった。御年80歳。インタビューの見出しは「90歳まで来年も再来年もシェイクスピア劇を」。

〈僕が初舞台を踏んだのは64年の「ハムレット」です。シェイクスピアで始まり、あれから57年、2度目の東京五輪が行われる年にこうしてシェイクスピアの「リア王」と「マクベス」をやるのは感慨深いですね〉

 そして19年、21年、26年と「マクベス」で主役を演じ、3回目の今回、ギネス認定の世界的な俳優になった。「マクベス」ではなく好敵手の「マクダフ」役を2度演じているので、「マクベス」で舞台に立つのは、実際は5度目になる。

 この前後の間に起きたのが20年前の出来事。元夫人が記者会見まで開いた離婚騒動である。俳優の離婚がなぜあんな大騒ぎになったのか、今から思えば不思議な話で、誰かが仕掛けたとしか思えないスキャンダルだった。

 この当時、「日刊ゲンダイ」の専務に「横内さんの話を聞いてくれないか」と言われ、お会いして「俳優 横内正 お騒がせしましたが…」という連載をやったのが筆者との最初の縁だ。以来、名優に何度もインタビューをお願いすることになった。テーマは「涙と笑いの酒人生」「私の秘蔵写真」「おふくろメシ」「死ぬまでにやりたいこれだけのこと」「生きるクスリ」といろいろ。

 シェイクスピア劇の舞台前には、共演者の加藤剛の次男・頼、三浦浩一、今年は大沢逸美にも話を伺った。そんな中、離婚騒動から10年後の16年、別の記者が担当した「私が書いた離婚届」というインタビューがあり、当時の苦境をこんな風に語っている。

〈あの頃は“熟年離婚”の代表のように扱われましたね。ちょうど某局が渡哲也さん、松坂慶子さんのお二方の夫婦役で「熟年離婚」のタイトルのドラマをスタート、話題の種には事欠きませんでした。実直で堅物の「格さん」、精錬で正義を貫く「大岡忠相」のイメージが重なる私が「女好きで、金銭に執着し、家庭を兵糧攻めにする卑劣な男」と、ダーティーなイメージに塗り替えられ、決まっていた仕事もキャンセルと、ついに私が兵糧攻めにあいました〉

助けてくれた二人の大物

 そんなピンチの時に、横内を助けてくれた二人の大物がいる。一人はみのもんた。「クイズ・($)ミリオネア」にゲスト出演した時に、みのに励ましの言葉をかけてもらったという。

 もう一人が細木数子。「幸せって何だっけ」に出演した時に、視聴者にこう呼びかけてくれた。

「本日ただ今から、横内さんをイジることは皆さんやめましょう」

 この細木のひと言は火消しの効果、抜群だった。そしてこう語った。

〈この先の限られた人生も…高齢俳優として、生涯現役の役者ばかを貫くことでしょう。来秋にも、昨年夏に上演したシェイクスピア「リア王」の再演、あるいは初挑戦となる別作品の上演に向け、準備に追われる日々が始まります〉

「マクベス」でギネスが叶ったのはあの騒動を挟んで、名優に強い執念のような覚悟ができたからではないか。そんな想いで、渾身の千秋楽を堪能していたら、熱いものがこみ上げてきた。

峯田淳/コラムニスト
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デイリー新潮編集部

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