指名漏れ組の「逆襲」が始まった! 都市対抗で評価を上げた“遅咲き”ドラフト候補3人衆

スポーツ 野球

  • ブックマーク

社会人の“遅咲き”が高く評価された例も

 沢山と川原は高校から社会人へ進んだが、大学卒業後に時間をかけて本格化した投手もいる。

 大学卒4年目の谷内隆悟(エイジェック)だ。

 同志社大時代は故障に苦しみ、リーグ戦での登板は4年間でわずか2試合、計約1イニングだった。それでもフォームのバランスや素材を評価され、卒業後はエイジェックへ入社した。

 社会人でも故障に悩まされたが、2年目後半から登板機会を増やした。3年目の昨年はSUBARUの補強選手に選ばれ、都市対抗を経験。4年目の今季はエイジェックで主力を担い、チームの快進撃を支えた。

 都市対抗では3試合に登板し、12回2/3を8安打1失点、17奪三振。沖縄電力戦で4回2/3を無失点、東邦ガス戦で4回無失点、準決勝の西濃運輸戦でも4回1失点、7奪三振と好投した。チームは創部以来最高となるベスト4まで勝ち進んだ。

 昨年から谷内をチェックしていたセ・リーグ球団のスカウトは、変化をこう話す。

「実戦経験が乏しかったため、昨年はまだマウンドで落ち着きがありませんでしたが、今年は安定してきました。キャッチャーの構えたコースに来るボールも増えています。フォームのバランスと腕の振りは素晴らしいです。左投手はどこも欲しいですから、まだ指名の可能性はあると思います」(セ・リーグ球団スカウト)

 大学時代から実戦経験が少なく、社会人でも本格的に投げ始めるまで時間がかかった。その分、26歳になった現在も伸びしろを感じさせる。

 フォームのバランスが良く、腕の振りもスムーズだ。そこに制球の安定が加わり、都市対抗では12回2/3で17三振と空振りを奪う力も示した。左投手を必要とする球団は多く、ドラフトまで候補に残ってきそうだ。

 エイジェックは2018年創部で、これまで所属選手がNPBドラフトで指名された例はない。谷内が指名されればチーム初となる。

 社会人の“遅咲き”が高く評価された例もある。

 2023年には大学卒5年目だった森田駿哉(Honda鈴鹿)が巨人から2位指名を受けた。プロ入り後は故障に苦しんだ時期もあったが、3年目の今季はリリーフへ回り、9月7日時点で25試合に登板して8ホールド、防御率2.97。巨人のブルペンで一軍戦力になっている。

 沢山、川原、谷内はいずれも、一度はドラフトで名前を呼ばれなかった。故障や不調を経験しながら投球を磨き、都市対抗では改めてスカウトに力を示した。

 ドラフト候補の評価は、最初に指名対象となった年だけで決まるわけではない。10月22日のドラフトで、3人の名前が呼ばれるか注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。