プーチン大統領を襲う“ウクライナ侵攻から5度目の冬”…“燃料枯渇”がもたらす厭戦気分と、“兵站崩壊”が招く士気衰退 「敵前逃亡する兵士が続出しても不思議はない」

国際

  • ブックマーク

 前編【CIA長官が「ロシアはこの戦争に勝てない」と通告…プーチン大統領に突き付けられる“正確な戦況” それでも下院選後には「最大50万人」動員の地獄絵図】からの続き──。ロイター(日本語電子版)は8月24日、「ロシア、下院選後に新たに30万人動員を計画=ゼレンスキー氏」との記事を配信した。ロシア軍はウクライナの東部戦線で多大な戦死傷者を出して苦戦しており、戦局打開のために兵力を増強すると見られている。(前後編の後編)

 ***

 ゼレンスキー大統領は8月23日、「ロシアが9月中旬の下院選後、戦争遂行のために新たに30万人を動員する計画だ」とのコメントを発表した。

 他にもイギリスの一部メディアがウクライナ情報機関の情報として「下院選後に30万人から50万人を動員する可能性がある」と報じている。

 ロシアでは9月18日から20日まで下院選が行われる。独裁国家であるロシアで言論や投票の自由は大幅に制限されている。

 とはいえ、プーチン大統領は下院選前に大規模な動員を行い、いたずらに世論を喚起してしまうことは避けるつもりなのだろう。

 何しろロシア軍はウクライナで多大な損害を出している。イギリスの公共放送・BBCとロシア独立系メディア「メディアゾーナ」は、インターネットなどで名前を確認できたロシア軍戦死者を計上する調査を続けている。

 最新の結果が8月21日に発表され、少なくとも24万1088人に達したことが明らかになった。実際の戦死者は最大で53万人を超えることもあるという。

 軍事ジャーナリストは「戦死傷者の補填が必要なのでしょうが、とはいえ、ただ単に兵士の数を増やしても、ロシア軍が優勢になるとは思えません」と首を傾げる。

ドローン空爆と冬

「これまでプーチン大統領は国内に厭戦気分が蔓延することを恐れ、ロシアの都市部に住む若い男性の徴兵は避けてきました。ゼレンスキー大統領も下院選後の動員は地方だけで行われる可能性を指摘しています。結局、囚人兵、傭兵、多重債務者などカネ目当ての志願兵、それに北朝鮮の正規兵が加わることになるのでしょう。しかし、こんな“烏合の衆”で世界最強とも言われるウクライナのドローン部隊に勝てるとは思えません。ロシア軍は戦車も榴弾砲もドローン部隊に破壊されています。もう人海戦術しかないと考えているのかもしれませんが、それでは戦死傷者が増えるだけです」(同・軍事ジャーナリスト)

 注目すべきは冬の訪れだ。間もなくウクライナでもロシアでも気温が低下していく。10月に入ると日本人の感覚なら冬本番となり、11月ともなると平均気温が0度前後という極寒の日々が始まる。

「ここで注目したいのが、ウクライナの中・長距離ドローンが原油精製施設、ガソリンスタンド、物流倉庫の3つを集中的に爆撃していることです。長距離ドローンの航続距離は最大で約800キロ。直線距離で東京から札幌、もしくは福岡までの距離と同じくらいです。ウクライナの中・長距離ドローンはロシア国内の奥深くまで侵入し、エネルギー関連施設や物流施設を破壊しています。特にガソリン不足は深刻で、そこに冬の寒さが追い打ちをかけることになります」(同・軍事ジャーナリスト)

次ページ:敵前逃亡が続出する可能性

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。