辺野古沖転覆事故は「自分のせい」 同志社国際高校の59歳教諭が死亡 「ネットで名指しで中傷され、憔悴していた」
「辺野古ボートコース」が下見の対象から外れた経緯
西田前校長は教頭時代、新聞社の取材にこう語っていた。
〈沖縄を通して日本を見るという視点を、常に持っておいてほしい。(中略)自分の目でしっかりと沖縄を見ることは、日本が抱えている問題や矛盾を見ることにつながる〉(「京都新聞」22年6月23日付朝刊)
そんな“視点”で同校の研修旅行は続いてきたわけである。先の報告書によれば、A教諭もまた金井船長と面識があることがうかがえ、
〈辺野古ボートコースのボートが抗議船であることに係る各担任教員の認識〉
との項目では、以下のように記されている。
〈a7教諭(A教諭)も、c1氏(金井船長)が抗議活動をしているため、生徒が乗船するボートが抗議船である可能性は認識していたものの、例年実施されてきたプログラムであり、これまで問題なく実施されてきたとの認識から、危険性を特段意識することはなかった〉
また事前の下見について、同僚から「乗船するボートを見ておくべきでは」と相談されたA教諭は、
〈去年と全く同じやり方をするなら行かないこともあり得る。(中略)昨年度とやり方を変えないものから下見の対象から外していくことは当然だと思う〉
そう回答し、結果的に全7コースのうち「辺野古ボートコース」は下見の対象から外れてしまったとある。
A教諭が学習管理アプリに投稿した内容
さらに報告書では、
〈生徒に対する希望コースの再確認〉
との項目で、事前に行った選択希望調査の結果、辺野古ボートコースの希望者数が上限(参加予定人数は37名)を超えており、調整する必要があったと記されている。ここにもA教諭が登場して、
〈a7教諭は、辺野古ボートコースについて、「綺麗な海が見たい」と言っている生徒がいることを耳にし、辺野古ボートコースを選択した生徒の中には、辺野古新基地建設(普天間基地移設)と、それに対する抗議活動の場を見学するという趣旨が十分に伝わっておらず、単に綺麗な海が見られると考えて選択希望を出しているのではないかと考えた〉
そして25年11月8日、学習管理アプリにA教諭は、こう投稿している。
〈このコースの午前中のプログラムでは、辺野古のきれいな海を見られますが、主たる目的は、「きれいな海を見る」ことではなく、基地建設と、それに反対する人が対峙する「現場」を見ることです。「そんなコースだとは思わなかった」という人は、火曜(11/11)、16:00までに申し出てくれれば変更を認めます〉
その後、亡くなった武石さんを含む51人の生徒から変更希望が出された。コース変更を認める生徒を抽選で決めることとなり、武石さんは外れたため、当初の申し込み通り辺野古ボートコースへ参加することになったというのだ。
3月の事故後、A教諭は憔悴し切っていたという。先の学校関係者は、
「先生は、旅行の計画立案に深く携わっていたこともあり、他の先生方よりもはるかに責任を痛感している様子でした。事故直後からネットでも名指しで中傷され、周囲にも『事故が起きたのは自分のせいだ』『武石さんのご遺族に申し訳ない』と、しきりに漏らしていました。特別調査委員会が動き出し、先生も5月にはヒアリングを受けていますが、その間もずっと悩み続けていたのです」
後編では、A教諭が自責の念に駆られ、休職を願い出た際の前校長の反応、前校長への直撃取材の模様などについて報じる。







