「山口組」分裂抗争に大きな節目 「特定抗争指定」に解除の動きが それでも当局が警戒を緩めない理由

国内 社会

  • ブックマーク

近く初判断へ、足並み統一

 現在の「特定抗争指定」は、六代目山口組と、池田組、絆會、神戸山口組との抗争の順でそれぞれ更新時期を迎える。

 今月20日にも、まずは六代目山口組と池田組との抗争指定が初めて解除され、絆會も同様の措置が取られる見通しだ。

 全国紙社会部記者は、「ある警察庁幹部に聞くと、『一斉解除という単純な話ではない』としつつ、解除判断が近いことは否定しません」と言う。

 また、この幹部は「一般論として、各公安委員会の判断になる」と説明し、国家公安委員会ではなく、各都道府県の公安委員会が個別に評価する形になるとの認識を示したという。制度上、指定の延長や解除は各都道府県公安委員会の権限だからだ。

 ただ、兵庫県警や大阪府警関係者は「実際には警察庁が調整するでしょう」と口をそろえる。

 20年の指定やその後の延長でも、警察庁が全国の関係公安委員会と連携しながら足並みをそろえてきた経緯がある。実務的には同時期に解除の結論が出される可能性が高い。

「勝負あった」からこその終結局面

 背景には各団体の勢力差拡大がある。

 六代目山口組の構成員・準構成員は24年末時点で約6900人。対する神戸山口組は約320人、絆會と池田組はそれぞれ約140人にまで減少した。神戸山口組は下部組織の脱退や解散が相次ぎ、離脱当初約2800人いた勢力が大幅に縮小した。

 警察当局は長年、「一方的な終結はあり得ない」「神戸側が解散しない限り終わらない」とみていた。だが、組織勢力の差が決定的となり、対立団体側も反撃能力が乏しくなったことで、抗争再燃の現実的な危険性は大きく低下したとの見方が広がっている。

残る慎重論

 もっとも、警察当局は、抗争の行方を決して楽観視しているわけではない。

 25年1月には神戸山口組の井上邦雄組長宅が、六代目山口組系組織の元幹部によって放火された事件が抗争事案として認定された。末端組員や元組員まで含めた統制が本当に効くのかは未知数との指摘もある。

 六代目山口組では解除を見据えた「重大な人事」(大阪府警関係者)が発令されるとの観測も浮上している。そのため、六代目山口組と神戸山口組との間だけは指定を解除せず、状況を見極める可能性がある。

 警察にとって、特定抗争指定が分裂抗争を封じ込めるための最大の武器だったことは間違いない。それだけに、解除後、“不測の事態”が起きることだけは絶対に許されない。

目黒龍(めぐろ・りゅう) ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。