敵役を演じてもなぜか憎めない「遠藤太津朗」 稀代の名脇役の素顔とは

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涙を浮かべて

 にこにこと穏やかな笑顔で迎えられ、語られたのは、これまで出会ったスターたちへの感謝の言葉だった。

 映画では勝新太郎。「『座頭市』の現場は活気があった。自分にはいまひとつ個性がないと思っていましたが、この現場ではいろんなアイデアが出るから、思った以上に個性を引き出してもらえたのはありがたかったですよ」

「銭形平次」の大川橋蔵については「とても凝り性で、とにかく“役者は役者として生きなければいけない”と教わりました。ドラマを休まず続けながら舞台公演もして、すごく忙しかったはずなのに芝居の外でも親分肌で、食事会に呼んでもらったりしましたね。ドラマの中では平次より僕のほうが威張っていますけど、外では逆ですよ(笑)。いろいろ相談にも乗ってもらいました。橋蔵さんは『銭形平次』が終わって1年もしないうちに亡くなった。まだ50代でした。残念でしたね……」

 平次を盛り立てるドジだが愛嬌のあるライバルを目指し、舟木一夫が歌う主題歌の歌詞をもじって「♪花のお江戸の厄介者よ~」などと歌っていたらしい。

 藤田まことは共に関西をベースに仕事をしてきた関係で付き合いは古く、「『てなもんや三度笠』の映画(1967年)にも出してもらってます。『必殺』は何度も呼んでもらいましたけど、寒くても暑くても夜遅くまで撮影したもんですわ。それをずっと続けてきたんだからたいした人です。今はお互いに年とって、とてもそんなにはできまへん(笑)。共にいろんな仕事をしてきた、一番わかりあっている仲間ですね」

 映画やドラマに出始めた頃は生活も大変で、お金に困ると主役俳優に仕事を紹介してもらうことも多かったという。当時の苦労を思い出したのか、少し涙ぐまれて私はドキドキしたが、「自分は人に助けられた」と最後は闇ではない本来の布袋の笑顔だった。この人情味が、役柄にもにじみ出ていたのだ。

ペリー荻野(ぺりー・おぎの)
1962年生まれ。コラムニスト。時代劇研究家として知られ、時代劇主題歌オムニバスCD「ちょんまげ天国」をプロデュースし、「チョンマゲ愛好女子部」部長を務める。著書に「ちょんまげだけが人生さ」(NHK出版)、共著に「このマゲがスゴい!! マゲ女的時代劇ベスト100」(講談社)、「テレビの荒野を歩いた人たち」(新潮社)など多数。

デイリー新潮編集部

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