「ENGEIグランドスラム」低調のワケ 全体のクオリティを下げた「コラボネタ」連発
「実力者が普通にネタをやる」
今回の番組で視聴率低下の一因になったと思われるのが、コラボネタの連発である。サンドウィッチマンと狩野英孝、ロングコートダディと男性ブランコなど、複数の芸人のユニットによるコラボネタが6本も放送されていたのだ。
もちろんコラボネタ自体が悪いわけではない。芸人同士の意外な組み合わせが見られることにはそれなりの価値はある。しかし、即席ユニットのネタということで、どうしてもそれぞれの芸人が普段やっている持ちネタに比べると全体的なクオリティは低くなりがちだ。そういうネタが少しぐらいあるのは構わないのだが、2時間10分の番組中に6本もあるのは多すぎた。
もともとの「ENGEIグランドスラム」は、余計な仕掛けを必要とせず、「実力者が普通にネタをやる」というのが売りだった。そこにコラボネタを大量に投入するというのは、本来のコンセプトにそぐわない試みだったのではないか。
今回は、「ツギクル芸人グランプリ2026」「爆笑レッドカーペット」「ENGEIグランドスラム」を立て続けに7時間以上にわたって放送する「ENGEI 8 笑いの夏祭り」という大型企画として編成されていた。
フジテレビとしては「一日中お笑いを楽しめる祭典」として打ち出していたのだが、「お祭り」感を優先するのか、上質なネタを見せることを優先するのか、どっちつかずになっているように見えた。特別感を出すために規模を拡大したことで、一番の目玉であるはずの「ENGEIグランドスラム」の輪郭がぼやけてしまった。
2015年の「ENGEIグランドスラム」には「テレビが選んだ日本最高峰の芸人たちを一堂に集めた巨大演芸場」というわかりやすい看板があった。しかし現在では、賞レースもネタ番組も配信も増えていて、一流芸人のネタを見ること自体は難しくない。だからこそ、おなじみの顔ぶれを集めて「日本一豪華」とうたうだけでは、視聴者にとって番組を見る理由にはなりにくい。
「ENGEIグランドスラム」を今の時代に復活させるために必要なのは、「なぜ今この番組をリアルタイムで見る必要があるのか」という理由を再設計することなのだ。
[2/2ページ]

