外国人労働者を束ねて工事現場で汗を流す男の正体…「“現役”というのは内緒ですが、言葉も理屈も通じない連中をうまくまとめてくれます」 ヤクザが“正業”に精を出す理由
構成員の人数は、組織の強さを示す──。警視庁によると平成期の暴力団は全国で8万人の構成員を擁していたが、2025年度末には1万人を割ったという。準構成員を含めても2万人に届かないところまで暴力団員は激減している。その衰退は実に激しく、前年と比べて構成員数が半分に減った団体もあれば、勢力を完全に失って暴力団対策法の指定要件を満たせず、当局から指定を解除された老舗団体もある。【藤原良/作家・ノンフィクションライター】(前後編の前編)
***
【写真を見る】過去には「ラーメン組長」も話題に…2023年4月に射殺されたラーメン店主は、山口組「弘道会」傘下組織の余嶋学組長だった。余嶋組長の笑顔とラーメン愛があふれるSNS
主な原因は暴対法や暴排条例の度重なる改正強化、検挙や摘発の徹底、暴力団排除に関する国民意識の広がり、そして暴力団員の高齢化、などが挙げられる。
暴力団員の検挙内訳を見てみよう。多いものから順に覚醒剤取締法違反、傷害、詐欺、窃盗と続く。つまり最近の暴力団員は覚醒剤の売買、詐欺、窃盗で生計を立てているように映る。本当にそんな犯罪行為だけでヤクザは日々を過ごせているのだろうか?
確かに覚醒剤の密輸・密売による収入に頼る暴力団員はいまだに多い。所属している団体が覚醒剤を禁止しているかいないかにかかわらず、大麻なども含めた違法薬物ビジネスで“シノぐ”しかない面々がいるのも事実だ。
一見、違法薬物ビジネスは大きな儲けを生みそうだ。しかし今の日本では多くの国民が所得の伸び悩みを余儀なくされ、薄給生活を送っている。米ドルに換算してアジアの経済先進諸国と比較すると、相当数の日本人が貧困層の年間所得に分類されてしまう。
収入減による影響は違法薬物ビジネスにおける顧客層にも例外なく及んでいる。つまり昨今の違法薬物現場では大口客が減り、金銭的な余裕を失った顧客が増えているのだ。結果、元締めや売人が過去のような高収入を得られない“シノギ”に変貌しつつある。
暴力団ではなくヤクザ
にもかかわらず、薬物関連で逮捕・起訴されると長期刑の判決が下る可能性は高い。「ハイリスクが割に合わないビジネス」と嫌悪感を示す暴力団員も増え始めている。
大麻に限れば中高生がSNSで簡単に入手するなど、未成年者の摘発数が平成期に比べると約10倍も増えている。ただし大麻は所詮、子供相手の小遣い稼ぎという程度の売上にしかならない。ビジネスとして大きく開拓されてはいないのだ。
また不良外国人が暴力団に代わって元締め的な役割を果たし、自分たちが密輸した違法薬物を日本に住む外国人に直接密売する「直売」も増えている。
不良外国人は違法薬物ビジネスに積極的であり、したたかな“商才”の持ち主も多い。とはいえ、やはり現在の暴力団が弱体化していることと密接な関係がある。違法薬物ビジネスは不良外国人に奪われつつあり、先述したSNSによる違法売買も不良外国人が主導しているケースが目立ってきている。
詐欺や窃盗の場合、特殊詐欺やトクリュウによる事件と暴力団の関係が注視されることもある。実は詐欺や窃盗に関しては「関与を禁止する」という指針を定めている暴力団も少なくない。
[1/2ページ]


