「154キロでも怖さを感じない」スカウトが指摘 「ドラ1候補」横浜・織田翔希、圧巻の12奪三振でも見えた“課題”
合わせやすい投球フォーム
だが、現地で見ていると気になる点があった。一つはストレートだ。
150キロを超える球を次々と投げながら、意外なほど打者にとらえられる。この日最速となった154キロのストレートは、慶留間大武(3年)にレフト前へ弾き返された。
数字だけを見れば高校生離れしている。それなのに、打者が極端に差し込まれているようには見えない。
パ・リーグ球団スカウトは、フォームに原因があるのではないかと指摘した。
「色々考えてフォームも変えているようですが、左足を上げてステップするリズムが一定に見えます。バッターから見ると“いち、にの、さん”で合わせやすい。せっかくあれだけのスピードがあってもそこまで怖さを感じません。選抜でもそれが気になりましたが、その点は夏も変わっていなかったですね」
154キロを投げても「そこまで怖さを感じない」。
厳しい言葉だが、ドラフト1位候補として見られている織田だからこその注文でもある。
そして筆者には、もう一つ気になったプレーがあった。投球以外の動きだ。
6回、レフト前にタイムリーを浴びた直後だった。織田はしばらく打球の行方を見たままマウンド付近から動かず、捕手の後ろへのバックアップに走らなかった。
7回にライト線へスリーベースを打たれた時も同じだった。今度は三塁手の後方へ回るべき場面だったが、そこへ走る姿はなかった。
一度ならまだしも、二度続いた。
フォームの課題を指摘していたスカウトは、このプレーを見逃していなかった。
「一度ならず二度あったのは良くないですね。昔の横浜高校なら相当叱られたはずです。これは織田に限ったことではないですが、投げることに気をとられてそれ以外のプレーが疎かになることが多い。こういう部分は大事なところで命取りになるので気をつけてもらいたいですね」
スカウトからは細かな注文が
試合後、織田本人にも直接聞いた。バックアップに走らなかったのは、疲れのせいだったのか。答えは違った。
「意識の問題です」
村田監督は「そこはまだ彼の“伸びしろ”の部分ですね」と認めている。
8回2/3、12奪三振、2失点。最速154キロ。139球目でも151キロ。
数字だけを並べれば、高校生として文句のつけようがない投球だ。それでもネット裏のスカウトからは変化球、フォーム、さらにはバックアップまで細かな注文が飛んだ。
それだけ高く評価されているからこそ、求められるレベルは高い。これだけの能力があるからこそ、「もっとできる」と見られている。スカウトやファンは、普通の高校生を見る基準では織田を見ていない。
154キロを投げて満足されない高校生は、そう多くない。そんな高い要求を一つずつクリアした時、織田翔希は本当の意味で「世代ナンバーワン」と呼ばれる投手になるのではないだろうか。
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