田中将大が反対する“高校野球7回制”に、「野村ヤクルトの4番」も「野球の魅力が消滅しかねない」と懸念 それでも「甲子園で開催すべき」と語る理由とは
強豪校に有利な7イニング制
では高校野球の場合、番狂わせの問題はどう考えるべきだろうか。絶対的なエースを擁して強力打線を持つ強豪校と、公立高などの弱小校が対戦すれば、基本的にはイニングが少なくなればなるほど、番狂わせは起きづらくなると予想される。
「田中投手が言及した野村監督の話ですが、かつて四球は4ボールではなく9ボールでした。野球の出場選手は9人。野球は9という数字と密接な関係があり、9イニング制も同じです。野球は18世紀からの長い歴史を持っています。イニング数が10を超えていた時代もあり、何度も試合を繰り返すことで『観客にとって9イニングが最も面白い』と分かったのです。もし高校野球が7イニング制になると、強豪校は2人の優れたピッチャーを擁するだけで相手チームを完封する確率が高くなります。9イニング制なら強豪校のエースでも疲れる時が必ず来ます。中堅以下の野球部でも打者にチャンスが生まれ、それが野球のドラマを生むのです。ところが7イニング制だと、こうしたドラマ性が消滅しかねません。野球の大きな魅力の一つである『終盤の攻防』が見られなくなってしまうのです」(同・広澤氏)
日刊スポーツで田中は「甲子園以外の球場で開催することも検討すべきでは」と提言した。だが広澤氏はこの見解に否定的だ。
ベンチに冷房が必要
全国の高校野球部の部員が甲子園を目指して練習を積み重ね、試合に臨んでいるのは否定できない事実だからだ。
「文字通り、高校球児にとって甲子園は“聖地”であり、甲子園での開催は非常に長い歴史を持っています。京セラドーム大阪で開催してしまうと、球児の夢や高校野球の歴史を完全に無視することになってしまいます。1回戦から決勝まで甲子園で戦ってきたのですから、その伝統を維持すべきです。むしろ私が疑問を持っているのは、果たして夏の甲子園で猛暑対策は充分に実施されているのか、という問題です」(同・広澤氏)
広澤氏は「野球はサッカーやゴルフと異なり、攻撃の際は選手がベンチに下がるというルールになっています。この特性を活用しない手はありません」と言う。
「私は阪神の選手として甲子園でプレーしましたが、少なくともプロ野球の試合で甲子園のベンチ裏は非常に冷房が効いていました。夏の暑い試合では、私たちはベンチ裏で涼んでいたものです。ベンチにクーラーを置くことも検討すべきではないでしょうか。試合を早朝とナイターに集中し、高温の日中は開催しないことも研究すべきだと考えます。甲子園での猛暑対策が充分に行われていないにもかかわらず、7イニング制の実施が提言されたり、ドーム球場での開催が言及されたりするのは、順番が違うのではないかと思います」
註:Which sport is becoming more predictable? A cross-discipline analysis of predictability in team sports(EPJ Data Science:2024年12月8日)




