「八王子のスーパーで3人射殺したのは中国人」 平成の三大未解決事件「ナンペイ事件」警視庁の元エースがたどり着いた「新証言」 警察は全面解決目前で「キーパーソン」を取り逃がす大失態も
【全2回(前編/後編)の前編】
未解決のまま7月30日に発生から31年を迎える「八王子スーパー3人射殺事件」。捜査を主導した警視庁の元エース・原雄一氏(69)が異例の行動に出た。退職後も独自に調べた内容を遺族に知ってもらうため、マスコミを前に調査報告会を開いたのだ。その驚愕(きょうがく)の情報とは……。
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退職後も捜査を続ける原動力
「私が『ナンペイ事件』の捜査本部に管理官として着任した時に、被害者の一人、矢吹恵さんのご両親から言われたことがあります。“捜査を指揮する管理官はすぐに交代していなくなってしまいます。私たち遺族に捜査の進捗状況を説明してくれません。原さん、どうかお願いです。事件解決まで八王子の捜査本部に残って、捜査を続けてください。それが私たちの願いです”と。この言葉が心に突き刺さり、今でも忘れることができません。これが退職後も私が捜査を続ける原動力になっています」
6月27日、東京・八王子のとある会議室でメディア関係者数名を前にこう語り始めたのは元警視庁刑事部幹部の原雄一氏である。長年、刑事部の花形と呼ばれる捜査一課で凶悪事件の捜査に従事。捜査一課ナンバー2の理事官にまで昇り詰めた元エース刑事だ。
「八王子スーパー3人射殺事件」(通称・ナンペイ事件)は1995年7月30日に発生した(時効は撤廃)。スーパー「ナンペイ」でパート従業員の稲垣則子さん(47)=当時=、アルバイトの女子高生、矢吹恵さん(17)=同=、前田寛美さん(16)=同=の3人が事務所に押し入った強盗犯に拳銃で射殺されたのである。
原氏は2005年3月からこの「ナンペイ事件」特別捜査本部の管理官として現場を指揮したほか、理事官就任以降も12年9月まで捜査を主導した。いわば、この事件を知り尽くすエキスパートだ。その後、滝野川警察署の署長や第九方面本部副部長などを歴任し、16年に退官した。
それから10年もの歳月が流れたが、事件は迷宮入りしたまま、上智大生殺人や世田谷一家殺害事件と並び“平成の三大未解決事件”と称され、現在に至る。
「犯人に関する新情報を聞き、椅子から滑り落ちそうに」
膠着(こうちゃく)状態を憂え、原氏が意を決して開催したのが今回の調査報告会である。彼は退職後も独自に事件の調査を続けていた。これまで当局が公表した事実や報道された内容と併せ、退職後、自分が調査して知り得た情報を公開しようというものだ。
「私のこれまでの活動に協力してくれた記者を集め、その報道によって遺族などに内容を把握していただこうと考えたのです」
遺族が知れば、その声を背景に事実上、捜査が停滞している特捜本部を奮起させられるかもしれないとの狙いがあるのだろう。
捜査のカギを握る重要人物は福建省出身の中国人。原氏は端緒を求め、東京・錦糸町の同省出身者がたむろする中国人クラブに足を運んできた。そればかりか昨年7月には中国に飛び、ある場所を訪ねてもいたのだ。執念というほかない。
「錦糸町で中国人ホステスから犯人に関する新たな情報を聞いた時、あまりの驚きで私は椅子から滑り落ちそうになりました」
と原氏。実は警察は事件の全面解決の目前でキーパーソンを取り逃がすという大失態も演じていたという。
報告会では何が語られたのか。その内容をお伝えする前にまずは「ナンペイ事件」の捜査について振り返っておこう。
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