「なんてものを見せられたんだ…」大人は困惑、子どもはキョトン 「映画ちいかわ」は観客を無傷で帰さない
「カメ止め」「オトナ帝国」にも通じる…
この作品は、面白さも凄みも、ネタバレなしには語ることが難しい。結果として、見た人はSNSに「何かは言えないけど、とにかく見て」と書き込み、未見の人は何が面白いのか説明されない分、かえって知りたくなる。2017年の『カメラを止めるな!』が起こした口コミの構図とよく似ている。
さらに、未見の人にとって『ちいかわ』はまだまだかわいらしい子ども向けアニメ作品である。その前提と、伝え聞く評判とのギャップそのものが興味を引く。人は作品の入り口と出口が違えば違うほど、強い衝撃を受けるものだ。子ども向けと見られながら「大人が泣ける」としてヒットした原恵一監督『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年)を彷彿とさせる構図である。
楽しかった。かわいかった。感動した。
映画『ちいかわ』は、そうした言葉だけでは到底言い表せない、割り切れない感情を観客に持ち帰らせる。子どもによってはトラウマになりかねない作品だが、もしかしたら大きなショックを受けたのは、子どもよりも大人の方かもしれない。
優れた映画とは、観客を無傷のまま劇場から帰すものではない。心を揺さぶり、ときに傷つけ、その傷口から新しい感情や価値観を芽生えさせる。
帰り道、子どもから「結局、誰が悪かったの?」と聞かれた親たちは、さぞかし苦労したに違いない。その苦労こそが、この映画が誠実に創作と向き合った証だ。
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【記事前編】では、大人や男性をも引きつけ、東アジア各地にも広がる「ちいかわ」人気の秘密を解説している。




