「寝られない、食べられない、帰れない」…死亡事故発生の「鳥人間コンテスト」 過酷すぎる制作現場を元スタッフが証言 「“このままではいつか事故が起きる”と言われていた」

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スタッフが消える日

 実は、同大会を巡っては、制作スタッフの間では、今回の事故とは別の意味での“危険”が共有されてきていたという。局肝いりの同番組制作には、局員だけではなく子会社や関係先の番組制作会社も総動員されるなど毎年数百名のスタッフが携わっているとされる。大会当日は制作フロアだけでなく報道フロアからも人員が駆り出され、大会の運営に関わる。局内から殆どのスタッフが“消える日”と呼ばれているそうだ。

 そうした一大イベントだけに、携わるスタッフたちの負担も相当なもののようだ。過去に番組制作に携わっていた、元大手番組制作会社ディレクターに話を聞くことができた。

「鳥人間コンテストの開催時期が近付くと、読売テレビに出入りしている番組制作会社のカメラマンやディレクターたちは『今年も地獄がやってきましたね』と沈んだ空気になるんです。無理もありません、大会より前の様子を撮影する先陣部隊は2週間ほど前から琵琶湖に向けて出発し、そのまま終了まで帰って来られない。中には『生きて帰って参ります』と、まるで出征兵士のように寝袋を抱えてロケバスに乗りこむADもいました」

 出場者たちへの密着取材、人力飛行機が飛ぶ際の撮影シミュレーション、総集編用の映像撮り……放送が迫れば、やらなければならない業務はいくらでもある。それも、この40度近い酷暑の中での炎天下の作業だ。

「私は大会数日前から現場入りしていましたが、その間は睡眠も食事もままならず、まさに『寝られない、食べられない、帰れない』の地獄でした。また、大会が終わった後も編集作業に莫大な時間が費やされる。制作現場では何年も『こんな過酷な環境で番組を作っていたら、いつか事故が起こるのでは』とさんざん言われていました」(同)

人員が減らされた結果…

 同番組は、2010年からカセットこんろなどで知られる岩谷産業が冠スポンサーとなった。読売テレビにとってみれば、視聴率も、安定したスポンサー収入も見込める有料コンテンツだ。いきおい、肩に力が入るのは仕方のない面があるだろう。

 映像メディアを巡る環境の変化に伴い、大手を含めたテレビ局も経営は決して楽ではなく、番組制作にかける予算や人員は削減の一途を辿っている。読売テレビ、そして「鳥人間コンテスト」も例外ではない。

 前出の制作局関係者は、

「人員が以前より減らされた分、スタッフ一人一人の仕事量は増えています。『局が予算を削って工期や成果だけを求めれば、いつかは事故が起きる』という意見が噴出しています。大会開催によって、今回の事故をなかったものにするのではなく、設営に関わる作業員も含めて、すべてのスタッフの労働環境を見直すきっかけにすべきです」

 それが亡くなった作業員の犠牲を無にしないことにも繋がるはずだ。

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 読売テレビ放送に本件について尋ねたところ、大要、以下の回答が来た。

「ご指摘のような過酷な作業の実態は、当社内で聞き取り調査をした範囲では確認できませんでした。一方、屋外での制作・運営を伴う番組であることから、暑熱対策を含め、関係者の安全確保と健康管理には引き続き万全を期す必要があると考えております。なお、スタッフや観客の熱中症による搬送件数は、2024年は1件、2025年は0件でした。今回の事故を受け、設備面に加え、労務環境や健康管理、作業負荷についても改めて点検し、必要な見直しを進めてまいります」

デイリー新潮編集部

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