「VIVANT」だけじゃない おもしろすぎる「夏ドラマ」3選 「小池栄子」出色の刑事モノ、「佐野勇斗」は美形“解禁”、目が離せない「松村北斗」
M!LKの佐野に注目
打って変わって次はラブコメ。TBS「火曜ドラマ 君の好きは無敵」(火曜午後10時)である。時代性がよく表れている作品だ。主人公は草壁杏奈(松本若菜)。明るく行動力がある。花形の大手コンサルティング会社に勤務していたが、突如としてFIRE(早期リタイア)した。退職後の当ては何もなかった。
杏奈に限らず、近年は大手企業に勤務することに価値を感じない人が増えた。定年まで会社に縛られるのを嫌がり、資産を蓄えてFIREする人も珍しくなくなった。もっとも、杏奈は貯蓄が十分だったわけではないので、日銭を稼ぐためにスキマバイトに精を出し始める。
バイト先で出会ったのが、相手役の瀬尾深月(佐野勇斗)である。売れないキャラクターデザイナーだ。ぬいぐるみやグッズに使われるキャラクターを考える仕事だ。「かわいい」を極めたキャラクターの造型を目指している。
瀬尾には実力があるものの、自己PR力がゼロなので、埋もれている。それをコンサルだった杏奈が世に送り出そうとする。女性が男性を応援する物語はよくあるが、元プロのコンサルがバックアップするという設定は新しい。
瀬尾はかつて業界最大手のキャラクター会社・MERRYに勤務していた。だが、自分がデザインした「まんぷくもる子」を会社が勝手に「シニカルモルコ」に改変したことに憤り、退職した。不器用で一本気な男なのだ。杏奈が瀬尾をどう変えていくのかが見ものである。
瀬尾を演じる佐野は、人気沸騰中のボーカル&ダンスグループ「M!LK」の一員。これも時代性を表す作品とする理由である。佐野は5本の主演作を含めて、過去に20本以上のドラマ出演歴があるが、人気作の多い「火曜ドラマ」枠への出演は初めてとなる。
佐野は並外れた美形であるものの、最近のドラマではそれを前面に出すことが少なかった。パソコンオタク役を演じたTBS「トリリオンゲーム」(2023年)ではおかっぱ頭に黒眼鏡。エリート国税庁調査官役だったテレ朝「おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-」(26年)も眼鏡姿。誘拐犯に扮した日本テレビの主演作「ESCAPE それは誘拐のはずだった」(25年)ではヤンキー風だった。瀬尾役では美形を隠さない。観る側には新鮮に映るに違いない。
佐野本人にとっては俳優として1段上に上るチャンス。演技に不自然さや嫌味がないと評判高いが、ラブコメでもそれができると広く見せつけられたら、支持層が拡大するはずだ。
顔芸の第一人者である松本の新技も見どころ。第1回ではホラー映画「シャイニング」(1980年)でのジャック・ニコルソンを真似てみせた。ドアの隙間から狂気に満ちた顔をのぞかせるあの場面である。この作品での顔芸はこれで終わりではないだろう。
松本の顔芸はフジ「やんごとなき一族」(2022年)から始まった。その後、主演女優の仲間入りを果たしたものの、顔芸を封印しなかったのは立派である。
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