プーチン大統領を襲う凄まじい“経済危機”リスク…ロシア軍の死傷者は“140万人”に達し、戦時経済は“危険信号”と海外メディア 「消耗戦によってロシア自体が消耗している」
基金の減少、不良債権の懸念
つまり戦費が公共投資と似た効果を発揮したわけだ。だが増え続ける戦費に、とうとう財政が耐えられなくなってきたという。
「実はロシアには“打ち出の小槌”がありました。石油や天然ガスで得た利潤を元に設立した『国家福祉基金』です。世界屈指の産油国として外貨を稼いでいた時期は安定した財務状況で知られ、年金システムの補填や財政赤字の穴埋めに活用されてきました。しかしウクライナ侵攻が始まると戦費を負担する原資としても使われたため、経済制裁の影響もあって基金の残高が急速に目減りしているのです。さらにロシア政府は防衛産業を支えるため、銀行を通じて大規模な融資を促してきました。結果として企業債務は急増し、防衛関連融資は企業向け融資全体の4分の1を超えるまで膨らみました。こうした融資の一部には会計処理に不透明な点があることが明らかになっており、不良債権化への懸念が高まっています」(同・記者)
ロシア経済は今年の第1四半期、つまり1月から3月までの3カ月でマイナス成長に転落した。ストレーツ・タイムズは《戦争開始以来、初めての景気後退であり、政府も年間成長率見通しをわずか0・4%へと大幅に引き下げた》と伝えた。
ロシアは戦争で消耗
ウクライナ軍が長距離ドローンでロシアの製油施設を破壊したことも大きな影響を与えている。ロシア国内でガソリンの流通量が減少し、ガソリンスタンドでは給油を待つ車が長蛇の列を成した。これが国民を動揺させている。
ストレーツ・タイムズは《かつてプーチン大統領が自国に有利に働くと考えていた消耗戦は、いまや逆にロシア自身を消耗させる戦争へと変わってしまった》と指摘した。
ロシアの苦況を伝える記事は、これだけではない。例えばロイター(日本語・電子版)は6月30日に「ロシア国民の経済悲観、過去20年で最悪 軍・政府への信頼も低下=調査」、7月7日に「ロシアに『爆発的な』銀行危機リスク、欧州の国家情報機関が警告」との記事を配信している。
一方、イギリスの経済誌「エコノミスト(The Economist)」の電子版は6月22日、「ロシアの戦時経済は問題を抱えている――だが、崩壊は目前ではない。プーチン大統領には、なお侵略戦争を続けるだけの資金がある(Russia’s war economy has problems-but is not about to crash Vladimir Putin is still able to fund his aggression)」との記事を配信した。
ロシアの継戦能力は?
ロイターとエコノミストも「ロシア経済には大きな問題がある」という分析は同じだ。しかし「ロシア経済は危機的な状況を迎えている」のか「ロシア経済には依然として底力がある」か、という点では見解が分かれたということなのだろう。
では軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、ロシア軍の戦闘状況とロシア経済をどのように分析しているのだろうか。
後編【“戦線は膠着”“経済は悪化”でもプーチン大統領が“終わらない戦争”を続ける理由 泥沼のウクライナ侵攻に変化をもたらす可能性を秘めた「プーチン大統領の異変」とは】では、ロシア軍は今後もウクライナに対する軍事作戦を継続できるのか、黒井氏の分析を元にお伝えする──。
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