“試合の送迎”は当然で“大一番には有給休暇” 「高校球児の親」はどれほど大変なのか

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やりきったよ、ありがとう

 高校の進路を決める際、「みんなが(唐津では強豪の)唐津商業、唐津工業にいくので俺も!」と次男は言いました。子供の希望は優先しなければいけないとは思いましたが、私はこう彼に言いました。

「お前は中学の時、唐津ボーイズで良かったと思う? 今までお前をみてきたけど、辛かったやろ? お前は野球を全く楽しんでない。強豪に行くのはいいが、今は体は小さいが必ず大きくなるし、必ず爆発的な成長をする時期がある。その成長する時期に強豪校にいてもレギュラーのサポート、球拾いをする姿が容易に想像できる。

 強いチームはある程度完成された選手を使う、いくらお前にセンスがあってもケガでろくに野球を経験してないお前を監督が使うはずがない。ならばケガの痛みからやっと解放されたんだから、まずは弱いチームでも野球をできる環境に入り楽しみ、成長するべきだ」

 このように説得しました。この内容は一字も間違ってないぐらい覚えています。そんなこともあり、決して強いとは言えない高校に進学しました。

 まあ、弱いだけあって練習後も居残り練習(バッティング練習、筋トレ)する先輩、同級生はゼロ。しかし、次男がこれらを始めたら、1人、また1人と増えていき居残り練習が当たり前の環境にまで変化し、今年の大会に至っています。

 さらに、次男は学校の筋トレでは足りないとジムへ通いだしました。小さくガリガリだったが努力の甲斐があり体重も増え、筋力アップに成功。練習試合ではあるものの、ホームランも打てました。

 今回の佐賀県大会一回戦が終わって2日後の私の気持ちは「やりきったよ、ありがとう!」でしかありません。あの高校に行かせて本当に良かった。涙涙。兄弟3人の中で一番の苦労人だと思います。

お金じゃ買えない最高の贅沢

 親は一体どのように我が子の野球に関わるか。少年野球は親抜きには成立しないと思います。会長、副会長、審判部長、審判員、会計、道具車会計、球場抑え係、送迎、マイクロバスの運転などなど、とにかく多忙です。長男が中学3年、次男が中学2年、三男が小学5年の時は、唐津ボーイズにあまり行けず、保護者との距離ができてしまいましたね……。それでますます足が遠のく悪循環。でも、本当に忙しいんですよ。妻とも「貴方があっち行って、私はこっち!」と喧嘩ばかり。

 一番の多忙は去年でしたね。長男が高校3年生で佐賀市におり、次男は高校2年で唐津、三男は唐津ボーイズ2年です。唐津ボーイズは毎週練習試合があり、長崎、佐賀、諫早、武雄など遠征だらけ。妻とは毎回喧嘩、「長男が最後の夏なのになぜ彼を優先しないんだ!」みたいな話になる。でも、私は唐津ボーイズの審判などの仕事が毎回あったのです。

 それだけ野球少年の親は大変ですが、先日行われた三男の中学野球の選手権大会予選で彼が活躍する姿を見て魂が震えました。エースとして2回戦、5回までノーヒットノーラン。3回戦の6回、ワンアウトまで0点に抑える圧巻のピッチング。しかし後続のピッチャーが打たれ、全国大会の夢は絶たれました。

 あんな精神状態・興奮状態は生まれてきて初めての体験でした。敗退した時も一瞬気を失うほどでした。こんなに感動を体験できる親はなかなかいないと思います。今でもあの興奮がよみがえります。この感動は親も一生懸命にやったからこそ体験できる境地だと思います。お金じゃ買えない最高の贅沢だと思います。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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