トランプ氏の関心は「イランより中間選挙」…“反共・左派叩き”戦術の効果を打ち消す「資本主義への不信感」 米国の“復元力”も働かず混乱必至か

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増える「親と同居」

 資本主義に懐疑的な傾向が強いのは経済的困難に直面している若年層だ。

 コンサルティング大手デロイトが9日に公表した調査結果によれば、今年の新学期商戦(7月中旬~9月)で学齢期の子供を持つ世帯の支出は、インフレ調整後ベースで約6%減少する見通しとなった。経済情勢の先行きが不透明さを増し、消費者心理が冷え込んでいることが理由だ。

 米国では成人すれば親元を離れるとの常識も通用しなくなったようだ。

 WSJは5日、米連邦準備理事会(FRB)が昨年実施した家計経済・意思決定調査で、「親と同居」と回答した30歳未満の成人が49%だったことを報じた。2019年の37%から大幅な上昇だ。急騰する住宅価格や家賃、学生ローンの負担で成人後のライフスタイルが変化したため、20代の若者でも親元で暮らすことが恥ずかしいとみなされることはなくなったと、WSJは解説している。

 アメリカン・ドリームの象徴ともいえる「持ち家」信仰も揺らいでいる。

 ブルームバーグは13日、住宅の購入費や維持費が急速に膨らんでおり、家は今でも良い投資先かという疑問を抱く若い層が増えていると報じた。

 ピュー・リサーチ・センターによれば、米国人の約9割が「現在の若者にとって住宅購入は親世代より厳しくなっている」との見方を示している。

広がり続ける格差に特効薬は?

 国民の意識の変化を感じ取ったからなのだろうか、トランプ氏も社会主義的な政策を実施し始めている。

 トランプ氏は6日、世界最大の小売企業ウォルマートが政府の要請を受け、主要な生活必需品の値下げを決めたことを明かし、他の小売企業も同様の対応をするよう呼びかけた。

 さらに同日、ホワイトハウスの執務室で、米株式市場の開場を知らせる鐘を鳴らし、いわゆる「トランプ口座」の発足を宣言した。この制度は、米国の子ども名義の投資口座に支援金(1000ドル)を支給し、長期の投資を促すものだ。

 この行事に出席した共和党のクルーズ上院議員が、この制度のことをルーズベルト元大統領が30年代の大恐慌期に実施した「ニューディール(政策)」にたとえたのは示唆的だ。

 米国における現在の経済格差は、過去100年間で最も大きかった大恐慌期直前を上回っているとの指摘がある。米所得全体に占める上位1%の取り分は1980年の10%から直近は21%と倍増する一方、下位50%は20%から13%に低下した。企業トップと一般従業員の報酬格差も1980年の約30対1が約280対1に拡大する有様だ。

 100年前の格差はニューディールや第2次世界大戦などを経て大幅に縮小し、その結果、米国社会の分断が沈静化したと言われているが、今回はどうなるのだろうか。

“宿敵”と化した共和党と民主党

 共和党・民主党ともに物価高対策を中心に格差是正に舵を切りつつあるが、両党が「小異を捨てて大同につく」ことができるかは怪しいと言わざるを得ない。両党の関係が政策の“競争相手”ではなく、“宿敵”と化した感が強いからだ。

 そのため、米国という実験国家に内包されていた復元力が、今回は作動しないのではないかとの不安が頭をよぎる。

 同盟国である米国の動向は日本の行く末を大きく左右する。引き続き高い関心を持って注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。

デイリー新潮編集部

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