DeNAに忍び寄る“補強依存”の危うさ 助っ人不発と若手不足で見えた苦しい台所事情
ちぐはぐな編成
野手でも、FA権行使に伴って桑原将志が退団したセンターの候補としてヒュンメルを獲得したが、ここまで打率は2割台前半と期待に応えられていない。こうした状況を受け、6月にはさらに投手のビドと外野手のエンカーナシオンを獲得した。
エンカーナシオンは7月2日に一軍昇格を果たすと、いきなり5試合連続安打を放つなど存在感を示している。一方、ビドは二軍での調整が続いており、投手陣の苦しい状況が改善しているとは言い難い。昨年もシーズン途中でビシエド、フォードを獲得したが、大きな戦力にはならなかった。
問題点は、外国人選手だけではないという。他球団の編成担当者はこう話す。
「2024年には日本一になりましたが、シーズンは3位。昨年も2位でしたが、優勝した阪神とは大きな差をつけられています。実績のある外国人選手と、FA移籍で退団したセンターのレギュラー・桑原が抜け、5月には正捕手の山本祐大がトレードでソフトバンクに移籍した。この流れを見れば、若い選手を引き上げてチームを新たに作り替えるのかと思いましたが、実際には外国人選手を新たに獲得している。少し編成がちぐはぐな印象は否めないですね」
そのちぐはぐさは、一軍だけでなく二軍の陣容にも表れているという。
「二軍を見ても、すぐに一軍で抜擢したくなるような若手は多くありません。本来は一軍でプレーしていなければならない中堅やベテランが多い印象を受けます。メジャー帰りの藤浪晋太郎や、かつてのドラフト1位・森敬斗らはその最たる例ですよね。山本の交換要員の一人として獲得した井上朋也も、結局は二軍でプレーしている。去年、今年の付け焼き刃的な補強が、来年以降に響く危険性もありそうです」(前出の他球団編成担当者)
親会社の企業風土も影響か
藤浪は昨年7月に日本球界へ復帰し、DeNAに入団した。しかし昨シーズンは6試合に登板して1勝に終わり、今年も一軍の戦力にはなっていない。ビシエドも今年5月に引退し、球団を去っている。
こうした“付け焼き刃的な補強”に見える動きの背景には、球団の体質も影響しているのではないか、という見方がある。
「親会社がIT企業ということもあり、球団運営にもスピード感やチャレンジを重視する空気があるようです。成果を出すことは当然ですが、どれだけチャレンジしたかも重要になると聞きます。そういう親会社の企業文化が、思い切ったトレードやシーズン途中の補強に表れているのかもしれません。打てる手は何でも打つという姿勢は悪いことではありません。ただ、腰を据えて時間をかけ、自前の戦力を充実させていくという点は弱いように見えますね」(前同)
現在のチームで投打の中心を担う東、牧秀悟は、ともに1年目から主力となった選手である。他の中心選手を見ても、即戦力として入団からわずかで一軍に定着した選手が多い。
一方で、二軍からたたき上げてスターとなった選手は、親会社がDeNAになる前に獲得した筒香嘉智以降、なかなか見当たらない。
山本を放出したことで正捕手としての期待が高まる松尾汐恩は、それに続く存在となる可能性を秘めている。では、松尾を中心に新たなチームを作っていけるのか。
黄金期を築くには、目先の補強だけではなく、中長期的な視点がより求められることになりそうだ。











