「耳の痛いことを言うと“反高市だ”と言われてしまうが…」 小渕優子氏の「突如の辞任劇」の背景 「言うべき時は言わないといけない」
「耳の痛いことを言うと“反高市だ”と言われてしまうが……」
予兆はあった。今年5月、自民では高市氏を支える「国力研究会」が発足。党に所属する8割超の国会議員が名を連ねる議連となったが、その中に小渕氏の名前はなかったのである。
5月21日、サブスクメディア「新潮QUE」で、前出の青山氏がMCを務める配信動画「永田町オフトーク」に出演した小渕氏は、マーケットの信任を得るためにも財政規律は守る姿勢を示すべきとの持論を述べた上で、
「言うべき時は言わないといけない」
「耳の痛いことを言うと“反高市だ”と言われてしまうが、あくまで高市総理がやりたいことをやれるよう支えていきたい」
と発言している。
再び青山氏に聞くと、
「党内でも小渕氏の辞任表明は思い切った行動だと捉えられていますが、やはり今議論されている消費減税に反対の意思表示の側面が強い。ポスト高市を狙うような政局的な動きなら、記者会見で辞める理由を説明するなど、もっと自分の正当性をアピールするはずですが表立った発信はしていません。総裁選は来年秋までありませんし、反高市的な機運を盛り上げようという動きでもない。政局と結びつけるのは考え過ぎだと思います」
「数の力で押し切ろうとすれば必ずきしみが」
肝心の高市氏はどう受け止めているのか。
「先日、官邸に出向いた税調会長の小野寺五典(いつのり)氏は、高市首相と面会して党内の慎重論や小渕氏のインナー辞任の意向を報告したそうです。それを聞いても高市首相は、あくまで強気なままで“妥協してよい”とはならなかったようです。消費減税を諦める気はまったくないのです」(青山氏)
とはいえ、国会では議員定数削減問題など他の法案でも野党と折り合いがつかない。会期延長までささやかれているが、
「野党は消費税を2年後に戻す点を批判していますから、このままでは落としどころがありません。小野寺氏は周囲に“高市内閣の支持率が下がらないようにすることが一番大事だ”と話しています。つまり野党との調整やマーケットの信任よりも、消費減税を訴えて選挙に大勝したことを重視して、それを守っていく姿勢がうかがえます」(同)
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、こんな意見だ。
「高市さんは首相就任後、税調会長を元大蔵官僚の宮沢洋一さんから小野寺さんに代えましたが、彼が本当にそういう調整をできるのかという見方もあるようです。税や財政に関しては、野党のみならず、党内には財政再建派、そして財務省という大きな相手がいる。本来は水面下での調整が必要なのに、高市さんは十分に議論も調整も尽くしていないように見えます。政策を進めるためには理念だけでは足りません。党内をまとめて野党との議論の意味も保たねばいけない。数の力で押し切ろうとすれば必ずきしみが出てしまいます」
「高市さんの“国民のために私は頑張っている”というアピールにしかなっていない」
経済学者で慶應義塾大学大学院教授の小幡績氏は、こう指摘する。
「消費減税という政策には合理性があるように見えません。というのも、国民が物価高で困り始めてから、もう1年以上たっているわけです。そんな中でまだ今から半年、あるいは1年以上も実現にかかるわけでしょう。もはや緊急対策にならない。物価高対策をやるなら構造的な対策が必要なのであって、一時的に国民の気分を盛り上げるための消費減税では、問題の本質には届かない。要は高市さんの“国民のために私は頑張っている”というアピールにしかなっていないのです」
まるで筋を通したかのごとく憤激して見せた小渕氏の真価も、これから問われる。
前編では、自民党内では一途で従順と評判だった小渕優子元選挙対策委員長が、税制調査会の非公式幹部会合メンバー、通称インナーを突如辞任した経緯について報じている。
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