2026年ドラフト戦線はどう動くのか スカウトの声で探る“最新勢力図”

スポーツ 野球

  • ブックマーク

各球団の見極めはここからさらに本格化

 高校生に目を向けると、織田翔希(横浜・投手)、菰田陽生(山梨学院・投手兼内野手)が頭一つ抜けた存在である。大学生と同様に、面白い投手は少なくない。特に春以降に評価を上げてきた選手としては、前田侑大(高岡第一)、日高創太(浦和学院)、内藤崚(上田西)、川島謙心(龍谷大平安)、平田玲翔(大分商)らの名前が挙がる。

 ここ数年の傾向として、ドラフト指名を狙えるだけのポテンシャルを持ちながら、進学や社会人を選択する選手が増えているようだ。

「高校生の場合、冬から春にかけて一気に伸びる選手が多いです。ただ最近は、春に見てこれは楽しみだなと思った選手が、既に大学や社会人に進むことを決めているケースが本当に多い。プロ入りしても数年で戦力外になることもあるので、それであればまずは大学に行ってからと考える気持ちも分かります。ただ、4年間は長いのでもったいないなと思う選手もいます。逆に、いい大学に行けないからダメ元でプロ志望届を出す選手もいる。正直、『この選手が出すのか』と思うこともありますね」

 ここ数年の夏の甲子園を見ていても、以前よりスカウトの数は減っている。日によっては一人も派遣していないケースもある。また、佐々木麟太郎(花巻東→スタンフォード大)や森井翔太郎(桐朋→アスレチックスマイナー)のように、アメリカの大学や直接MLBを目指す選手も出てきた。高校生を巡る争奪戦は、多様化の時代に入っていると言えそうだ。

 社会人は例年以上に有力候補が限られている。数少ない上位指名候補に挙がるのは、藤澤涼介(東京ガス・外野手)だ。佐野日大から横浜国立大に進学し、大学3年冬には侍ジャパン大学代表候補合宿に選出された。大学卒業時はプロ志望届を出さずに社会人へ進んだが、全国屈指の強豪チームである東京ガスで1年目から中軸を任されている。

 187cm、87kgの大型外野手で、長打力と確実性を兼ね備えた打撃が持ち味だ。外野手の能力も高い。6月15日に行われた都市対抗予選のJR東日本戦では30人を超えるスカウトが集結し、その前で見事なホームランを放ってみせた。右打者でセンターを守れ、長打力もある。プロが求める条件を備えており、数少ない即戦力野手として評価する球団は複数あるだろう。

 7月には高校野球の地方大会が本格的に始まり、8月には夏の甲子園、社会人野球最高峰の大会である都市対抗も控えている。今年は大学生投手が軸となる一方、野手や高校生、社会人はまだ評価が固まりきっていない。夏以降の結果次第で、評価を一気に押し上げる選手が現れるのか。10月のドラフト会議へ向けて、各球団の見極めはここからさらに本格化していく。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。