日本は“芸能人連れ”で1000人規模…97年「香港返還」で観光客より熱かった海外メディア 取材陣が殺到した“式典以外のイベント”とは
映画にも登場したプレスセンター
返還の当事国である英国と中国の報道陣はそれぞれ600~700人程度だったという。さらに香港の周辺国や欧州、香港と縁が薄かったメキシコやアルゼンチン、エジプト、イスラエル、ロシアなども特派員を派遣し、海外メディアは総勢5000人超となった。これに加えて、地元の香港メディアも2500~3000人程度という総力体制である。
会場のコンベンション・センター旧館には8000人収容のプレスセンターが設置された。この時期に撮影されたジェレミー・アイアンズ主演の映画「チャイニーズ・ボックス」では、実際のプレスセンターや外国人記者クラブ、記者たちの姿を見ることができる。
会場近くの建物は電波媒体用の仮設スタジオに様変わりした。香港民放局TVBのドキュメンタリー番組によれば、世界の100局以上が使用する中で、最高の位置に“鎮座”したのは中国の中央電視台(CCTV)。72時間のノンストップ生中継のため機材をすべて新調し、精鋭スタッフ300人を送り込むという気合いの入れようである。対して英国のBBCは2年前から場所の確保に動き、仮設スタジオも広く充実していた。
英中に並ぶ、またはそれ以上の人数といわれたのは、「香港の民主主義の今後」に強い関心を抱く米国だった。他国のメディアもこのテーマを掲げたが、たった数人の小規模ながら熱心だったのはチェコである。記者はTVBの取材に対し、1989年に共産主義を脱した自国の経験から、香港の“逆行”に国中が注目している状況を語った。
天安門事件追悼集会にメディア殺到
海外メディアは市井の取材にも積極的で、貧困層の住居や伝統行事のドラゴンボートレースなどを次々と訪れた。中でも注目されたのは、6月4日の天安門事件追悼集会である。香港メディアを合わせて800人超というプレスの数はそれまでの最多だった。一方、返還や将来に関する街頭インタビューに応じる人は少なかったという。
前述のプレスセンターには4000台の国際電話が並び、衛星送信手段を持たない電波メディアに香港島の中継局を使うルートが提供されるなど、報道を支える体制は万全。そこで盛んに報じられたのは、今後の香港では「一国二制度と高度な自治、香港人による統治、資本主義的な生活様式」が50年間維持されるという“前提”だった。
時は流れて2022年、返還25周年式典は香港と海外を含め少なくとも10人の記者が取材を拒否された。天安門事件追悼集会はその2年前から開催不能になり、現在は旧会場付近でロウソクや花を持っただけで拘束される。そんな中で迎える来年の30周年式典には、どれだけの海外メディアが集まり、どのように報じるのか。いまも世界は香港に注目している。
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