来季から“セ・リーグもDH導入”で「パ強セ弱」は覆せるか? 実は打撃面の強化だけではなかったDH制の“知られざるメリット”

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成果を収めた巨人

 一定の成果と言えば、巨人だろう。大城卓三(33)、岸田行倫(29)、ダルベック(30)、中山礼都(24)がDHを担い、トータルで33打数7安打、4打点。トータル平均打率2割1分2厘でやはり奮わなかったが、安打のほとんどが大城、岸田から生まれており、ペナントレース再開後の一つのビジョンにつながった。「打てる捕手2人」を同時にスタメン起用するプランで、岸田も試合前に一塁の守備練習に入るようになった。

「ペナントレース再開の前日18日、東京ドームでの練習が非公開となりました。岸田が一塁に入った際のサインプレーなどが確認されたようです」(前出・スポーツ紙記者)

 その岸田が「3番DH」で出場した6月9日の楽天戦でのこと。第4打席で試合を決定づけるソロホームランを放ったが、それは坂本勇人(37)から“失敬”してきたバットが使われていた。チーム関係者によれば、2人のバットは形態も重さも全く同じもので、時折、坂本が岸田にプレゼントすることもあったそうだ。

「岸田が第2打席で凡打した際、折れてしまった。それで坂本のところに行って借りてきたそうです。その後、坂本のバットでホームランを含む5打数2安打。岸田は『もう返さない』と笑っていました」

 その坂本か、丸佳浩(37)のベテランがDHを務めるというのが大方の見方だった。巨人は21日から甲斐拓也(33)を昇格させ、捕手4人制となった。大城、岸田の2人を同時出場させ、途中交代があった場合、ベンチには小林誠司(37)の一人しか残っていない。甲斐の昇格はその小林にも「試合中に何かあったら」の不安を解消するためである。

「大城、岸田が夏場以降も活躍すれば、来季は捕手と一塁の兼任ではなく、DHとの兼任になるかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)

 DH制による2捕手の同時出場が、チームの分岐点にもなったようだ。

 また、中日は福永裕基(29)、阿部寿樹(36)、サノー(33)、細川成也(27)の4人が務めたが、48打数8安打、トータル打率は1割6分7厘だった。しかし、故障明けの岡林勇希(24)が復帰した後でもあり、DH制導入によって、外野のスタメンからこぼれそうだった鵜飼航丞(27)や板山祐太郎(32)、石川昂弥(25)らも同時起用できる利点があった。DHとして、もっとも多く打席に立ったのは31打数のサノー。サノーは守備難でも知られており、「無駄な失点をやらない」意味でも味方投手陣の気持ちを軽くさせたようだ。

 DeNAも筒香嘉智(34)、佐野恵太(31)、宮崎敏郎(37)らのベテランとヒュンメル(31)、牧秀悟(28)を使い分け、守備位置が重複する選手たちを同時出場させていた。DH選手のトータル成績は29打数8安打で、2割7分5厘。セ6球団でもっとも高い数値である。

野球が変わる?

「阪神はDH制によって、弱点を露呈させてしまいました。DH起用された福島たち、つまり、レギュラー選手と控え選手の力量差がこんなにも開いているのかと言わざるを得ません」(前出・スポーツ紙記者)

 ヤクルト前監督の高津臣吾氏が12球団監督会議などで発言していたことだが、神宮球場のブルペンはファールゾーンに設けられている。セ6球団の本拠地球場で屋外にブルペンがあるのは神宮球場だけで「投手継投が丸見えになる」と懸念していた。パの埼玉西武ライオンズの本拠地・ベルーナドームも屋外にブルペンがあるが、大きなリスクとして取り上げられたことはない。「次に出てくるリリーバー」が相手陣営に丸見えになるのは“お互いさま”としてやっていくしかないのだろう。

 投手継投と言えば、こんな話も聞かれた。

「これまでセは、次イニングの攻撃で登板中の投手に打席がまわってくるかどうかも考えながら、交代のタイミングを見計らってきました。その意味で損をしたのは、楽天の前田健太(38)です。6月17日の甲子園での阪神戦は、一軍復帰登板でした。序盤は苦しんでいましたが、5回裏の投球から本来のキレが戻ってきました。でも、その直後の6回表に打席がまわってきたため、2点差を追う楽天は代打を送らなければなりませんでした」(在京球団スタッフ)

 あと1イニングを次回登板のために投げさせていたら、完全復活もあったかもしれない。投手が打席に立つリスクをなくす。セ・リーグのDH制導入で注目すべきは、攻撃面だけではないようだ。

デイリー新潮編集部

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