大谷翔平を封じた男がDeNAへ 長嶋、江川、松井を苦しめた“キラー”たちの記憶
松井を13打数無安打に
“ゴジラキラー”の名をほしいままにしたのが、阪神・遠山奨志である。
松井秀喜が「顔も見たくない」とボヤくほど手こずった変則の左サイドは、実はイチロー対策の産物でもあった。
ロッテ時代の1994年、彗星のように現れた20歳の“安打製造機”に投手陣がことごとく打たれた。そこで「アイツだけは打ち取ってくれ」という八木沢荘六コーチの要望に応えるべく、遠山はフォームをサイドに変えた。すると、同年はイチローを4打数無安打に封じることに成功した。
それから5年後の1999年、今度はセ・リーグ屈指の強打者・松井を相手に、変則サイドが威力を発揮する。
同年は松井を13打数無安打に封じ込んだ。圧巻だったのは、6月13日の巨人戦である。
7回2死三塁のピンチで、前打者の石井浩郎を敬遠したあと、あえて松井との勝負を選んだ。そして「松井? 別に意識しなかったですよ」の大胆発言どおり、得意のシュートで空振り三振に仕留めた。
一方の松井は、この試合で4回に先制ソロを放ち、試合も4対1で勝利した。それでも「前の打者が敬遠されたのは記憶にない。(三振で)本塁打も吹っ飛んだ」と、まるで敗者のようなコメントを残している。
その後、松井は翌2000年6月18日、遠山との通算22打席目でバックスクリーンに初本塁打を記録し、「今日はいい酒が飲めそうです」と満面の笑みをたたえた。
キラーと呼ばれる選手にも、標的にされるスターにも、それぞれの意地がある。
特定の相手を徹底的に封じる投手。苦手を克服しようと工夫を重ねる打者。互いを強く意識しながら、全身全霊でぶつかり合うからこそ、名勝負は記憶に残る。
ビドが日本球界でどんな投球を見せるのかは、まだわからない。ただ、“大谷翔平キラー”という肩書きがあるだけで、見る側の想像はふくらむ。新たな「キラー伝説」がNPBで生まれるのか。後半戦のDeNAに、ひとつ楽しみな見どころが加わった。










