20代で7割、30代で6割が「見ていない」 衝撃の調査結果から考える「若者のテレビ離れ」本当の理由

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見たい時間に見る

 現在の若者にとって、そのような視聴方法はむしろ不自然なものになっている。見たいものは見たい時間に見る。退屈なら途中でやめる。切り抜き動画で必要な部分だけを見る。SNSで話題になった場面から番組に入り、面白ければ過去回をさかのぼる。彼らは映像を見なくなったのではなく、番組表に従わなくなった。

 テレビ局が視聴者の時間を支配する時代から、視聴者が自らコンテンツを選んで利用する時代に変わった。

 高速インターネットとスマートフォンの普及が動画視聴の環境を変えたことの影響は大きい。スマホで動画が簡単に見られるようになったことで、テレビ視聴の不便さが浮き彫りになった。

 テレビ番組を見るためには、原則として部屋にテレビ受像機を置いて、リアルタイムでその場で視聴をしなければいけない。途中から見ると内容がわからない場合も多いので、基本的には番組開始時間から見る必要がある。その意味で、単に「不便」だから見られなくなっているというのは大きい。

 また、地上波テレビは不特定多数に向けて同じ内容を一斉に届けるメディアである。個人の嗜好に合わせて最適化されたコンテンツに慣れた若者から見れば、テレビは「自分に関係のない時間」が多すぎるという欠点もある。

 一方で、テレビの影響力が完全に消滅したと断定することもできない。大規模なスポーツ中継、災害や選挙などのニュース、国民的な芸能イベントでは、依然としてテレビが多数の人を同時に集めることができる。

 テレビ番組の一場面がSNSで切り抜かれ、放送を見ていなかった人にまで拡散されることも多い。テレビは日常的に毎日見るメディアではなくなったが、大きな出来事が起きたときに人々が集まる広場としての機能は残っている。

「20代の7割、30代の6割がテレビを見ない」という数字は、テレビの終わりを示しているのではない。それは、放送時間に視聴者を拘束し、1つの番組を国民全体に見せるという旧来のテレビの仕組みが歴史的役割を終えたことを意味している。これからのテレビに求められているのは、時代の変化に合わせてコンテンツの届け方をアップデートすることなのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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