「カスハラ認定で氏名を公表」に効果はあるか? 三重県が刑事罰付きカスハラ防止条例へ、先行する桑名市に尋ねると
三重県は全国で初めて刑事罰付きのカスタマーハラスメント防止条例の最終案を公表した。悪質なカスハラに対し、知事の「禁止命令」に従わなかった場合には罰金を科すという踏み込んだ内容だ。
もっとも、実効性のあるカスハラ対策条例はすでに県内で先行している。2025年4月に施行された桑名市の条例では、悪質な行為者に警告を行い、改善されない場合は氏名を公表する。実際に氏名を公表された人はいるのか。市の担当者に話を聞いた。
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2027年4月、三重県で全国初の刑事罰付き「カスハラ防止条例」施行へ
三重県は今月8日、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止に関して、全国で初めて刑事罰付きの条例の最終案を公表した。2027年4月の施行を目指す。その条例案では、刑法などの既存の法令では対応できない悪質なカスハラについて、「特定カスハラ」として定義し、それらを防止するための手段として条例に刑事罰を規定する。具体的には、正当な理由がないにも拘わらず、長時間にわたり、金銭、物品その他の利益の供与を要求したり、謝罪や面会を行うよう要求したりすることを「特定カスハラ」とするという。
最終案での罰則の適用イメージとして、特定カスハラが発生した場合、事業者から録音や録画の証拠資料を揃えて知事へ申し出を行う。そして、弁護士や有識者などがメンバーの県の審査会で特定カスハラにあたるか審査する。特定カスハラにあたると判断された場合、知事は行為者に対し、特定カスハラを行わないよう命ずることができる「禁止命令」を出す。行為者がその命令に違反したとき、知事が検察官や警察に告発し、裁判所で有罪となれば50万円以下の罰金などの罰則を科す。
全国で大きな問題となっているカスハラ。今回の三重県のカスハラ防止への取り組みは画期的にも思えるが、実効性のあるカスハラ防止条例の全国初の取り組みは同県桑名市で昨年4月に施行されていた。いわば先駆的な取り組みだ。市の担当者に話を聞くと、
「桑名市のカスタマーハラスメント防止条例では、カスハラ行為が起こり、警告をしてもなおやまない場合にはその方の氏名を公表する可能性があるという、制裁措置付きの条例というところが大きな特徴になります」
この実効性のある条例の施行に至るきっかけは何だったのか。
「全国的にもカスハラをすごく問題視するような流れになってきている中で、条例制定に向けた検討委員会で議論をしたり、市内の事業者にヒアリングを行ったところ、カスハラに困っており、やはり実効性のある条例を制定してほしいというような声が多数ございました。東京都さんなど理念条例を制定されているところもありますが、それではカスハラをやめましょうというだけなので、何か効力があるわけではないですよね。もちろん氏名公表を直接の目的としているわけではないので、そういった措置を設けることによってカスハラの未然防止につなげたいというところが一番大きいです」
実際に氏名が公表された人は
2025年4月の施行と同じタイミングで、桑名市ではカスハラの「相談窓口」が設けられた。そこに寄せられた相談の中で、相談者が希望すると、弁護士、労働組合や事業者の代表、商工会議所、消費生活相談員などがメンバーの「対策委員会」で録音や記録などの証拠をもとに審査される。公平性を担保するために行為者本人のヒアリングも行われるという。そして、その対策委員会でカスハラと認定されると、市長から迷惑行為者に対して警告書が発せられる。
「昨年度、カスハラの相談窓口に寄せられたのは24件。そのうち『対策委員会』で審査されカスハラ認定されたのが2件です。1件目は、運送業者に対し、配送中に商品が壊れたことを受けて、暴言や侮辱的な発言があり土下座を要求したことなどが行き過ぎていたと判断されました。2件目は、病院で、同室の患者の独り言が大きくて不眠になったと主張し、病院側は謝罪したけれど、上席の看護師や主治医を呼ぶように要求し、ほかの患者にも謝るように要求したことがカスハラに該当しました。市長から警告書が発せられましたが、その後は問題を起こしていないため氏名の公表には至っていません」
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新潮社の新潮QUE「『理念条例でカスハラは止まらない』 三重県が刑事罰付き条例へ、先行する桑名市の取り組みは」では、実際にカスハラは減ったのか、今回の三重県の罰則付きの条例制定との関係性についても話を聞いている。


