パンツ事件で“衝撃のひと言”…勝新さんが「一生忘れられない」と語った中村玉緒さんの“言葉”
プロポーズはドラムソロ
二人が初めて共演した映画は「かんかん虫は唄う」(1955年)だった。その5年後、勝さんの出世作となる「不知火検校」で共演するなど、映画の現場で一緒になることが多かった。
それから勝さんは仲間と共に、玉緒さんと食事に出かけるようになるが、勝さんの母が玉緒さんの父・成駒屋中村鴈治郎の大ファンで、楽屋にシュークリームの差し入れをするほどだったという。
〈この女を抱きたいという気持ちはわいてこない。そういう想像を玉緒にするのはいやだったが、毎晩毎晩、玉緒を食事に誘う。誘う時には、必ず六、七人、大勢の仲間を連れて、飯を食いに行ったり、飲みに行ったりしていた。玉緒は俺のことを、よっぽどの金持ちだと思っただろう。(略)でも、ふたりきりでデートってのはできなかった。夜十時前には、必ず玉緒を家に送る。毎日そんな日が続いていた。〉(同)
やがて勝さんは決心する。「俺が旦那になればいいんだ。俺が幸せにすればいいんだ」。京都のナイトクラブ、「ベラミ」にいつものメンバーと出かけた際、勝さんは玉緒さんの手を取り、ホールに踊りに行く。
〈玉緒はいつも鼻のあたまに汗をいっぱいかいていた。手を握ると、手も汗で濡れている――。
「俺と結婚」
と言ったのと同時に、ドラムソロが始まった。
ダンスカドンドン、ダンスカドンドン……。
「俺と――」
ドンタンドタン……。
「結婚して――」
ジャンスタドン タンタンドン……。
「俺と一緒に……」
ダンスカドンドン……。
「えっ、何どす?」
ドドンダンダンダダン……。
そのドラマーの演奏に、フロアーで踊っている客たちがいっせいに拍手した。ドラマーも乗りに乗って、普段より気が入っちゃって、音までいつもより大きい。
「何て言いはったんです」
「いいんだ」
俺が手を一回ギュッと握ったら、二回握り返してきた。また握ると、また握り返す。嬉しくなっちゃって、
(今日は、これ以上の幸せを望んじゃいけない)
うきうき、席に戻った。〉(同)
天国の二人は今頃、満面の笑みで手を握り合い、再会を喜んでいるに違いない。
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