主人公は50歳のスーパー従業員…若者から圧倒的な支持を受けたワケ 「時すでにおスシ!?」が覆したドラマ界の常識

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常識破りのヒットと理由

「時すでに――」が若い視聴者から圧倒的支持を得ていたことが分かった。ドラマ界の常識が覆された。なにしろ主人公のスーパー従業員・待山みなと(永作博美)は50歳という設定なのだ。永作の実年齢も55歳。若い視聴者は自分自身と重ね合わせやすい若い主人公を望むとされてきたが、そうとは限らなかった。また、若い視聴者が好む考察要素も全くなかった。

 なぜ、「時すでに――」は若い視聴者に支持されたのか。みなとの1人息子で新幹線の乗務員になったばかりの渚(中沢元紀)の仕事に対する不安も盛り込んだのがプラスに働いたのだろうが、それだけでは説明が付かない。

 若い視聴者にウケた理由も従来のドラマ界の常識とは違ったはず。まず、エイジレスだったことが良かったのだろう。

 みなとはリカレント学習(学び直し)として鮨アカデミーに入る。そこで出会った40代前半の講師・大江戸海弥(松山ケンイチ)と好意を寄せ合う。クラスでは60代の立石船男(佐野史郎)と20代前半の森蒼斗(山時聡真)が気さくに付き合った。コンパもあった。

 世間では年の差カップルなんて少しも珍しくない時代である。60歳を過ぎてから大学に入る人もよくいる。70代で働いている人も珍しくない。すっかりエイジレスの時代だ。それなのにドラマは年齢によって役割を決めてしまいがち。現実より遅れている。それに若い視聴者はもどかしさを感じていたと見る。

 このドラマの編成プロデューサー・松本友香氏は「私の家政夫のナギサさん」(2020年)の企画者・プロデューサーでもある。28歳のメイ(多部未華子)と50歳のナギサ(大森南朋)を結婚させた。ずっとエイジレスを描いている人なのだ。

 みなとの送る日々が明るく溌剌としていたところもプラスに働いた。子ども家庭庁の調査によると、13~29歳の7割以上が自分の将来に不安を感じている。経済的な問題もあるのだろうが、そもそも周囲の50代、60代以上が楽しそうに見えないからではないか。

 このドラマを観た若い視聴者は50代も悪くないと思ったはず。振り返ると分かるが、このドラマは世間の50歳が直面するネガティブな問題の描写を徹底的に避けた。みなとの勤務先での苦労や肉体の衰えなどである。

 だから若い視聴者はみなとの暮らしがただ楽しそうに見えた。「暗くなるから」と視聴を止めることをしなかっただろう。この成功により、他局も50代を主人公とするドラマを増やすに違いない。

 コミカル色があったことも若い視聴者を惹き付けるのに役立ったのは間違いない。たとえば最終回、みなとは大江戸が新規開店する鮨店に招かれた。客として呼ばれたのだと思い、快諾したが、実は従業員としてのスカウトだった。白衣姿のみなとは「なんなのよ、これはー!」と天に向かって叫ぶ。クスリとなった。若い視聴者はコミカルなタッチを好みがちだ。

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