水道水、アサリ、包装紙…… 毎日の「食」から忍び込む発がん性物質「PFAS」 体内蓄積を知るための“一丁目一番地”とは

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国が「血液検査の基準」を作らない

 いったい自分の体内にどれだけPFASが蓄積していて、どれだけの健康リスクを抱えているのか。それを知る手助けとなるのが体内のPFAS血中濃度を測定できる「血液検査」というわけだが、実施にあたって課題は山積している。小泉氏は、こう指摘する。

「日本の場合、国が水道水におけるPFAS濃度の基準値は定めていますが、血中濃度については明確な値が決まっていません。アメリカは血中のPFAS濃度の基準として20ng/mlという値を設定しています。これを超えると様々な健康リスクが大きくなるといわれているのです。腎臓がんや精巣がん、肝炎や甲状腺の病気、コレステロール値が高くなる高脂血症を発症する危険性のみならず、妊娠中の女性が基準を超えると生まれた子どもが低身長や低体重、免疫異常になるリスクも指摘されています。環境省が2010年から約10万組の親子を対象にして行っている『エコチル調査』によれば、妊娠が発覚した母親のPFAS血中濃度が4ng/mlを超えたあたりから、子どもの染色体異常が増えているということが明らかになりました。母体への影響としては、妊娠中毒症や帝王切開などにおける出産時の事故の増加、また新生児の仮死状態などが増えていく傾向があることも分かっています」

「PFAS血中濃度が4ng/mlを超えた妊産婦の中でも、染色体異常の新生児を生む確率は400出生に1人。一般的に染色体異常は1000出生に1人なので、この割合はリスクとしては非常に高い。こうした報告を聞くと、前述した20ng/mlより低い血中濃度でも健康リスクが生じるのではという懸念を持たれる方もいると思います。一番の問題は、すでに環境省が調査を行いデータがあるにもかかわらず、国が血液検査に対して何ら基準を設けていないことなのです」(同)

 全国でもPFASへの不安から血液検査を受ける人は増えているという。

「住んでいる地域の水道水が国の定める基準をクリアしていても、血中濃度が20ng/mlを超えてしまっている人が続出し、不安は尽きません。例えば、ダイキンの工場がある大阪府摂津市や、水道水の汚染が発覚した兵庫県の宝塚市、明石市では、血液検査を受けた人の半数がアメリカの基準値を超えてしまっています。PFASは水道水のみならず、汚染された土壌で育った野菜など食物からも体内に入ってくる。目に見えない化学物質であるため、どこから入ってくるかを確認することができない。だからこそ血液検査が重要になってくるのです。自分の体の状態を知るという意味でも血液検査を行う必要性は大きいと思います。血液検査というのは総合指標です。血液は常に体内を循環しているので、たまたま検査した日が低かったということにはなりません。PFASの値が高い水や食物を口にした日だけ血中濃度が高くなるということもありません。これまでPFAS濃度の調査に従事してきた経験から、水道水や井戸水、それに土壌や農産物などは日によって数値が変動することは分かっていますが、人間の血液は過去の蓄積を示します。日によって数値が変わるということはないのです」(同)

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 かくして重要性が指摘される「血液検査」だが、自治体の負担や価格面の問題など課題が多く残されている。「新潮QUE」では、【発がん性物質「PFAS」最新情報 「血液検査」で基準値超の人がやるべき対策とは】として、いまも続くPFAS問題の現在地と「血液検査」の実態について詳述する。

デイリー新潮編集部

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