水道水、アサリ、包装紙…… 毎日の「食」から忍び込む発がん性物質「PFAS」 体内蓄積を知るための“一丁目一番地”とは
食品から検出されるPFAS
欧米に比べて日本は水質基準が緩い上に、今でも全国各地で高濃度のPFAS汚染が報告されていると聞けば不安は尽きない。これまでPFASによって水道水が汚染されているとされた地域としては、東京都の多摩地域をはじめ岐阜県の各務原市、愛知県の豊山町、京都府福知山市、兵庫県明石市、岡山県吉備中央町、広島県東広島市、沖縄県の複数の自治体が挙げられる。
汚染エリアの多くは、自衛隊や米軍の基地、PFASを扱っていた工場や産廃処理場などが立地していた。基地においては、航空機火災などに使うための泡消火剤に含まれていたPFASが、消火隊の訓練で滑走路周辺に散布された結果、地下水に染み込んで河川や井戸水などの水源地が汚染されたのが原因ではないかと見られている。
昨年には、沖縄県内の米軍基地周辺にある河川でPFASが検出されたとして市民団体が公害調停を申請。大阪府摂津市でも、空調メーカー大手のダイキン工業の工場から多量のPFOAが検出されたとして、地元住民が公害調停を申請するなど、各地で社会問題化しているのだ。
これらの地域では、すでに水源地の付け替えや浄水場のろ過設備を強化するなど対策を講じ、水道水のPFAS濃度を国の基準値以下に抑え込んでいる。だが、前出の東広島市では、体内にどれだけPFASが残留しているかを調べる血液検査を受けた住民の1人から、アメリカの学術機関が定めた指標の110倍超の値が検出されたという。いかに水道水の水質基準が定められ、行政が安全だと周知したところで、すでに人体に蓄積されているPFASは簡単には消えてなくならない。体内のPFASが95%排出されるのに約40年かかるという専門家の試算もあるのだ。
環境衛生学の専門家で、日本におけるPFASの汚染実態をいち早く調査・研究してきた京都大学名誉教授の小泉昭夫氏が言う。
「血液検査で、PFASの血中濃度が高いという結果が出た人の多くは、汚染された水や野菜などを口にしているケースが多い傾向が見られます。汚染された地域に住む人以外でも、PFSAが含まれた食材を食べればPFASの血中濃度が高くなってしまいます。たとえば、PFAS規制が遅れた中国近海で採られたアサリなどの海産物は、PFAS濃度が高い傾向にあります。PFASは肝臓などの臓器に濃縮され、蓄積されていきますから、貝類など肝臓組織が含まれる食材で、こうした地域のものはなるべく避けた方がいいでしょう」
水や食材のみならず、日常生活においてPFASは、撥水性、撥油性といった利点を活かしてファストフードの包装紙や化粧品、日焼け止め、レインコートなどにも用いられてきた。PFASに汚染された地域の住民でなくても、知らず知らずのうちに体内へと取り込んでしまっている可能性は否めない。
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