ついに開幕したW杯で「日本代表の勝利に賭けたい」と思うのは非常識か…なぜ日本では“合法的なスポーツ賭博”にも冷たい視線が向けられるのか

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日本人のトラウマとなった「二つの悲劇」

 そもそも、スポーツ関連の賭け事に対して多くの日本人が後ろ向きなのは、時折報じられる“悲劇”のインパクトが大きすぎるからかもしれない。2年前、日本中を驚かせたのは大谷翔平選手の元通訳の事件だった。非合法サイトで負けた6億8000万円もの額を、元通訳は大谷選手の銀行口座から勝手に支払っていた――。その金額の大きさは日本人の常識を遥かに超えていた。

 サッカーのW杯でいえば、「エスコバルの悲劇」がやはり衝撃的だった。

 1994年のW杯アメリカ大会の1次ラウンド、コロンビアはルーマニアに敗れた後のアメリカ戦でセンターバックのアンドレス・エスコバルがオウンゴールを記録し、先制点を献上した。結局1対2で敗れたコロンビアは、優勝候補とまで目されていたこの大会を1次ラウンドで去ることになった。

 そして悲劇は選手たちの帰国後に起こった。深夜、バーで友人と歓談して店を出たところで、エスコバルは「オウンゴールをありがとう」の言葉とともに銃撃され死亡した。犯人は不法賭博シンジケートの用心棒だったことから、背後にある組織の関与が疑われたが、いまだに謎に包まれている。犯人は服役し、2006年に釈放されたが、今年2月にメキシコで射殺されたとのニュースが伝わっている。

 日本での合法的な賭けへの理解が進まないのは、やはりこうした事件の負の印象が強烈すぎるからだと思われる。だが、ここに挙げた2例はいずれも非合法的な賭けに絡むものである。

オッズが低い「日本の優勝」

 と、ここまで非合法スポーツ賭博の悲劇についてご紹介してきたが、前大会に続いて、今大会も日本で合法的にW杯に賭けることが可能なのである。

 先ほど紹介したWINNERで、「優勝国」「日本の成績」「各試合の勝敗とスコア」などを予想し、的中すれば配当を受け取ることができる。

「優勝予想(開幕期)」の投票は6月18日(木)23時まで。11日現在の主な倍率は、1番人気のフランスが3.1倍、スペイン3.3倍、ポルトガル5.0倍、イングランド5.1倍、アルゼンチン5.5倍、ブラジル6.1倍、ドイツ9.3倍と続き、日本は8番人気10.7倍の支持を受けている。1口200円だから、日本が優勝すれば1口で2140円になる。

 日本の対戦相手オランダは11.2倍、スウェーデン133.4倍、チュニジア564.7倍。ちなみにアメリカは49.5倍。イランは407.7倍。人気最下位はカーボベルデ963.6倍だ。

「日本代表の成績」は6月14日(日)23時まで投票できる。11日現在の数字はかなり興味深い。

 投票数の1位は「ベスト32」で2.5倍。2位は「ベスト8」2.8倍。両極端だ。そして3位「ベスト16」3.4倍、4位が「4位」で7.1倍、5位が「3位」の8.7倍。6位「グループリーグ(勝ち点3)」9.1倍と続く。しかも驚くべきことに、「優勝」は8番人気で10.2倍、「準優勝」が10番人気で12.1倍。優勝しても200円が2040円にしかならない。それだけ実力が認められていると理解すべきだろうか。いや、やはり還元率が低すぎて物足りない。

 念のため、海外の伝統あるスポーツブックメーカー『ウィリアムヒル』のオッズを確認すると、スペインとフランスが4.5倍で同率首位。3位イングランド6倍、4位ポルトガス7倍。日本はモロッコ、メキシコ、スイスと並ぶ12番目で50倍。1万円の投資が50万円になる。そりゃこっちに賭けたくなるよなあ。非合法だけど。

 各試合の予想は開始時間の数時間前まで投票が可能。15日(月)朝5時に始まる日本の初戦オランダ戦は14日(日)23時30分まで販売される。現在のところ、1対0で「日本の勝利」は4.9倍、「オランダ勝利」は7.5倍。狙い目は「3対2で日本の勝利」10.4倍あたりだろうか。賭けに徹して「3対2でオランダ勝利」の19.6倍を選ぶ道もある。

 こんな風に毎日1試合を選んで200円ずつ買って楽しんだら、ただ観戦するより遥かにテンションは上がるだろう。試合があるのは35日間だから合計投資額7000円、これがいくらに化けるか減るか、悪くない楽しみ方ではないだろうか。本当はもう少し配当が高いともっとうれしいけどね。

スポーツライター・小林信也

デイリー新潮編集部

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