「ポケットに500円だけ入れて家を出た」虐待家庭から12歳で逃げた少年 韓国ソウルで“ストリートチルドレン”になった30代男性の過酷すぎる半生

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乗り越えられなかった「壁」

 結局、アルバイトと学校の両立は難しく高校を中退したキムさん。その後、高校検定試験で高校卒業資格を取り大学にも受かったが、惜しくもまた1年の1学期だけで辞めざるを得なくなった。“リソースの壁”を乗り越えられなかったのだ。

 彼の周囲は、中流から富裕層ばかり。1日24時間のうち3、4時間を除いて全て勉強に使えるような子どもたちだった。一方でキムさんは学業と友人付き合いに加え食い扶持まで考えなければならない。勝負にならない。

「勉強だけで生き残るのは不可能だったんです」

 バンドもやったが、同じ音楽でも裕福な家の子どもにとっては遊びで、自分にとっては現実逃避と生存戦略の混ざったものだった。そこには埋めがたい距離があった。

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 記事後編では、家庭を離れたキムさんを待っていた裏切りと借金、夜の街での日々、そして親との最後の決別について紹介している。

安宿緑
東京都生まれ。ライター、編集者。東京・小平市の朝鮮大学校を卒業後、米国系の大学院を修了。朝鮮青年同盟中央委員退任後に日本のメディアで活動を始める。2010年、北朝鮮の携帯電話画面を世界初報道、扶桑社『週刊SPA!』で担当した特集が金正男氏に読まれ「面白いね」とコメントされる。朝鮮半島と日本間の政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様と心の動きに主眼を置く。韓国心理学会正会員、米国心理学修士。著書に『実録・北の三叉路』(双葉社)。

デイリー新潮編集部

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