国内人口300万人減の衝撃 それでも人口を増やし続ける「地方都市」の原動力となった鉄道
“TX信仰”の7市
TX信仰を顕著に表しているのが、茨城県小美玉市を中心に結成されたTX 茨城空港延伸議会期成同盟会に加盟する7市だ。小美玉市は茨城空港が所在する自治体だが、茨城空港は近年の訪日外国人観光客の増加を受けて首都圏第3空港の役割を担うようになっている。
茨城空港は東京からの距離が近いものの、空港に連絡する鉄道路線がない。小美玉市はそうした不便を解消することは茨城県全体、ひいては東京・埼玉・千葉といった広大なエリアにも恩恵があると主張した。小美玉市は近隣自治体と連携して、空港への連絡鉄道を建設するように呼びかけた。
小美玉市にはJR常磐線が走り、羽鳥駅も設置されている。本来なら、小美玉市としては羽鳥駅に接続するように空港連絡鉄道を建設するのが理想だろう。しかし、空港からの距離や利便性までを踏まえると、隣接する土浦市の土浦駅に空港連絡鉄道を建設する方が合理的だろう。土浦駅は常磐線の特急列車も停車するので、東京圏からの利用者を呼び込みに絶大な効果を発揮する。
小美玉市は常磐線よりもTXに期待を寄せ、期成同盟会の7市とともにつくば駅からTXの線路を茨城空港へ延伸させることに力を注いでいる。
TXより常磐線の方が茨城空港の近くを走っているので、その分だけ工費・工期は短くなる。そうした要因を小美玉市は一顧だにしなかった。昨今、建設資材も人件費も高騰していることを考えると、線路の建設距離が短くて済む常磐線につなげる方が得策のように思えるが、TXの名称を冠したことからも窺えるように、あくまでも期成同盟会はTXの誘致という目標を崩さない。
恩恵に与りたい?
期成同盟会が立ち上がった当初、筆者は期成同盟会者や茨城県の関係者にも取材を試みたが、それら関係者からTXを誘致する決定的な理由を聞くことはできなかった。
それでも関係者の話を総合すると、TXを誘致する狙いは経済的にも産業的にも勢いのあるつくば市とつながることで、その恩恵に与りたいということが伝わってきた。そうした思惑は近隣自治体の気持ちを反映していると思えるが、茨城空港の利用者目線で考えると、話はまた違ってくる。茨城空港利用者の多くは東京から短時間でアクセスできる点に魅力を感じることだろう。わざわざ、つくば市に寄り道したいと考える利用者がどれほどいるのか?それでも、関係者たちはTX誘致という初志貫徹を崩さない。
つくば市は、今回の国勢調査で県都・水戸市の人口を上回って県内一の人口を擁する自治体になった。その躍進を支えているTXは、以前から東京駅までの延伸計画が取り沙汰され、それは確定的とされる。
地方の救世主になったTXにあやかろうとする自治体は少なくない。つくばエクスプレスの快進撃は、どこまで続くのか?




