今年で21年目を迎える「セ・パ交流戦」…初開催の05年から激変した2つの“球界の常識”とは? ひとつは「パ・リーグの劇的な地位向上」、そして

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選手にはメリットが

 一方、パ・リーグの選手にとっても交流戦、とりわけ「全国ネット」でテレビ中継される巨人戦というのは、そのモチベーションを大きく上げるものでした。当時、お立ち台で「今日は地元で両親もテレビを見ていると思うので」と語る選手が多くいたのを思い出します。

 また、それまではどんなに活躍してもニュースで取り上げてもらえないことが多かったのに、何もしなくても時間をかけて紹介されます。何よりモチベーションが上がったのは、満員のスタンドでプレーすることだったと、多くの選手が語っていました。

 開催初年の2005年はホーム・ビジター3試合ずつ、1チームと6試合の36試合制でした。つまり1か月半にわたる長丁場でした。その後2試合ずつで1チームと4試合の24試合となり、現在はホーム・ビジターどちらかで1チームと3試合で18試合制になっています。

 この試合数の変遷が意味するものは何でしょうか。

 36試合制当時、「同一リーグとの試合が1か月半も中断するのは長すぎる」という声が監督をはじめ、選手の間でも多く聞かれました。これを受けて、24試合制になりましたが、2連戦で移動となると、火曜日~日曜日6試合という、基本の日程が崩れてしまいます。集客が見込める土日に試合がないという選択肢はなく、土日は実施となるとその調整のため、2日試合がなくなる、などといった変則日程になりました。

 また本来、試合がない月曜日に試合が入る、逆に試合があるはずの平日に試合がないという事態となり、特に火曜日から日曜日に野球中継をレギュラー編成しているラジオ局から、編成変更が何度も必要になることへの不満が噴出し、交流戦が始まってから急増した総試合数増加に対する選手の負担軽減との理由もつけられ、今の18試合に落ち着きました。

巨人ブランドの低下

 交流戦の試合数削減は、開始当初からセ・リーグ球団から特に声が上がっていましたが、パ・リーグ側がこれを受けた理由のひとつは「プロ野球」、特に「巨人」のコンテンツとしての価値低下だと思います。

 巨人戦のテレビ放送権料で儲けようとしたパ・リーグ球団でしたが、ほどなく巨人戦は特定の局で全試合中継という時代が終わり、うまみのあるコンテンツではなくなりました。

 さらに、巨人に「この選手を見たい」というかつてのONや原辰徳、松井秀喜のようなスター選手がいなくなり、巨人戦だけチケット代を高く設定すると寧ろ売れ行きが悪くなるようになり、その点でもうまみがなくなりました。

 スワローズなど、一部巨人戦だけ別料金の球団も最近までありましたが、ダイナミックプライシングの導入などもあって、今では巨人戦を特別扱いする球団はなくなりました。

 そしてもう一つは、パ・リーグの地位向上です。

 くじ引きなので、あくまで偶然ではありますが、ダルビッシュ有(39)、田中将大(37)、斎藤祐樹(37)、大谷翔平(31)など、ドラフトで「数十年に1人の逸材」と言われる人気と実力を兼ね備えた選手が、ことごとくパ・リーグの球団に入団しました。各球団がそれまで以上に「地元密着」路線に舵を切った中で、人気選手の獲得は観客動員に大きく貢献しました。

 結果として「巨人戦頼み」でなくとも経営改革ができたことになります。

 このような変遷を経て今に至る交流戦ですが、去年までの通算成績は、セ・リーグ1217勝、パ・リーグ1369勝、78試合の引き分けと、パ・リーグが大きく勝ち越しています。パの強さが際立つ交流戦の中で、去年は上位6チームがすべてパと、象徴的な年になりました。

 後半戦を迎えた今年の交流戦、セ・リーグ各チームがどれだけ意地を見せるか、注目です。

村上和宏(むらかみ・かずひろ)
フリーアナウンサー。1967年、広島県出身。専修大学法学部卒業後、91年に東海ラジオ放送入社。制作局アナウンサーとして、主にスポーツ実況を担当。2025年の退社まで、プロ野球をメインに多くの番組制作に携わった。現在、バンテリンドームナゴヤのDAZNドラゴンズ戦実況、「プロ野球ニュース」(フジテレビONE)などに出演中。

デイリー新潮編集部

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