なぜ少年たちはトクリュウにかくも簡単に騙されるのか? 「今の若者はTikTokしか見ない。いくら啓発をしても…」

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報道とは違うから

 昨年1月に仮装身分捜査、いわゆる“おとり捜査”がトクリュウに導入され、SNSによる勧誘はやりにくくなったと言われている。今回の事件でも指示役がSNSではなく知り合いの高校生に声をかけている。同じく10月、警視庁は別名T3(匿流ターゲット取り締まりチーム)と呼ばれるトクリュウ対策本部を立ち上げ、全国から200人規模の捜査員が集められた。トクリュウに関連する全国の検挙者数が、昨年だけで1万2178人に上ったことも発表された。その中で少年は4割にも上る。

「そのような新聞やテレビの報道を見ていない若者が引っかかる。もちろん指示役はリスクや実態など言いませんから、若者は勘違いしちゃうんですよ。『自分もいけるかな』といった軽い感じで行っちゃう」(警察関係者)

 さらに、勧誘のフェーズも変わってきているという。

「中には、闇バイトに応募しても報酬はもらえないとニュースで耳にした子もいるわけです。そのため勧誘側は、あえて最初に報酬の一部として10万円を渡したり、未成年ではなかなか行けない高級店でごちそうを食べさせたりして、やれば儲かるというのを体験させるわけです。“報道とは違うからこの仕事は本当に儲かる”と信じ込ませることで、じゃあやってみようか、となる」(同前)

 しかも、あれほど報道されている闇バイトやトクリュウを知らない若者もいるという。

啓発が届かない

「今の若い子はTikTokしか見ない。XやInstagram、LINEも見ない。だからネットニュースも、ましてやテレビや新聞も見ない。そういう若者に限って学校にも通っていないから、授業で闇バイトの危険を説いたところで意味がない。いくら啓発しても彼らには届かないんです」(同前)

 この記事も、トクリュウ予備軍には読んでもらえないというのが虚しい限りだが、なぜこんな犯罪に手を染める若者が増えているのか。警視庁の元幹部に本音を聞いた。

「なぜ実行役に少年を使うかといえば、バカみたいに言うことを聞くし、マインドコントロールしやすいから。実家を把握して『家族を殺すぞ』と脅せば、警察に駆け込むこともなく、抵抗もできずに使い捨てにできるからですよ。そして指示役のほうも、昔は暴走族だって二十歳になれば恥ずかしいと卒業する分別があったが、今は大人になれない“子どものままの大人”が悪さを続けている。大人の定義は“他人の痛みがわかること”だけど、今の若者にはそれがわからない。なんでこんな世の中になっちゃったのかね。日本人の倫理観が欠如したんだろうね」

 栃木県警は上三川町の強盗殺人事件で指示役となった夫婦をさらに指示したとされる益田和彦容疑者(48)を公開手配した。増田容疑者は中国経由で東南アジアに逃亡した可能性があるという。トクリュウの根こそぎの退治はもちろん、さらに上をも含む指示役の犯行の厳罰化を望む。

デイリー新潮編集部

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