「中国人実業家」「悪徳弁護士」との交渉に完勝した“事件師”の奥の手…「書面はAIに書かせたんですよ」

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事件師は救世主!?

 理論上の話だとはいえ、事件師・池田のためにAIが作成した書面は、通常の弁護士が行う100倍から5万倍の作業スピードで仕上げられたものだと言える。

 さらに事件師としての豊富な経験も反映されているため、並の弁護士では太刀打ちできないのも致し方ないだろう。

 こうして弁護士の“楯”を失った佐々木は手も足も出なくなり、老社長の主張を呑んで降参するだけだった。その上、池田から迷惑料も搾り取られてしまった。

 老社長が事件師に感謝したのは言うまでもない。引き続いて会社の売却先探しも依頼すると、数カ月後に池田は会社の売却を無事に完了させた。

 この件は、老社長の周辺に口コミで伝わった。池田は現在、AIを活用する新しいタイプの事件師として、今回のような複雑な案件を解決するために日本全国を飛び回っている。

 事件師のような特殊な存在でなくとも、弁護士の資格がない一般人がAIを使って法律事務を引き受け、報酬を得ると非弁行為に該当する。さらにAIの回答には間違いが含まれている可能性もあり、その利活用については細心のチェックを払う必要がある。

 とはいえ、AIの発達が意外にも裏社会の住人である事件師の活動を支え、法的なグレーゾーンで苦しむ人々の“救済”を成し遂げている。

私たちが得る「答え」とは?

 ちょっとした“義賊”のような超法規的存在が、日本のあちらこちらで誕生しているのだ。

 AIが日本の裏社会に与えた意外な影響を、私たちはどう受け止めたらいいのだろうか? こうした動きは私たちにとって何を意味しているのだろうか? 

 遠からず、意外にも近い将来、その答えが私たちの前の前に示される気がしてならない。

 第1回【事業継承を進めていたら売却先に「中国人実業家」のカゲが…弁護士にまで裏切られた老社長が頼った“意外な人物”とは? AIの進化は“裏社会の交渉”まで変える】では、なぜ老社長は裏社会の住民であり、非合法の稼業に手を染める事件師の池田を頼りにせざるを得なかったのか、その経緯について詳細に報じている──。

藤原良(ふじわら・りょう)
作家・ノンフィクションライター。週刊誌や月刊誌等で、マンガ原作やアウトロー記事を多数執筆。万物斉同の精神で取材や執筆にあたり、主にアウトロー分野のライターとして定評がある。著書に『山口組対山口組』、『M資金 欲望の地下資産』、『山口組東京進出第一号 「西」からひとりで来た男』、『闇バイトの歴史 「名前のない犯罪」の系譜』(以上、太田出版)など。

デイリー新潮編集部

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