「中国人実業家」「悪徳弁護士」との交渉に完勝した“事件師”の奥の手…「書面はAIに書かせたんですよ」
詐欺師の“楯”となる弁護士
池田は早速、半グレ風の男たちを引き連れた佐々木と面会。「手付金の返還のみですべてを白紙に戻すこと」という老社長の方針に合意することを求め、交渉を開始した。
詐欺師同然の佐々木は、これまでにいくつもの場数を踏んだと思われる池田の話しぶりに気づき、その場では警戒して身を引いた。だが、すぐに佐々木は弁護士を依頼し、池田との対決姿勢を鮮明にした。
近年の傾向を見ると、このタイミングで弁護士が介入すれば、事件師である池田は佐々木との対面交渉はできなくなるはずだった。弁護士が法的な“楯”となって池田の動きを封じ込めてしまうからだ。
それでも池田が強引なやり方を押し通したり、執拗な追求を繰り返したりすると、弁護士は刑事告訴が可能になる。脅迫、強要、恐喝、ストーカー行為、威力業務妨害など、ありとあらゆる容疑で警察に逮捕されるリスクが上昇してしまう。
平成から令和にかけて弁護士は“楯”の戦術を確立し、多くの事件師が仕事を失って駆逐された。それだけではなく皮肉なことに、詐欺師が被害者からの追求を防ぐため、弁護士を使うことが常套手段になっていることも附記しておく。
完敗した弁護士
話を元に戻せば、事件師の池田は対面交渉を速やかに諦め、書面での交渉に切り替えた。法曹資格がなく、単なる事件師に過ぎない池田を軽く見ていた佐々木と弁護士は、余裕綽々の構えで書面の交渉に応じた。
ところが、池田から送られてきた書面の完成度に弁護士は思わず舌を巻いた。弁護士でさえも簡単には作成できない、非常に完成度の高い書面だったのだ。
主張を支えるために用いられた条文や判例を見るだけでも、ずば抜けた法知識と経験を持つ法曹家でなければ書けないものであり、詐欺師の片棒を担ぐようなレベルの弁護士では反論の書面も作成できなかった。その後、書面で数回のやり取りを交わすと、弁護士は白旗を上げて完敗を認めた。
この弁護士を破った池田の書面こそ、実はAIが作成したものだったのだ。池田は私に「AIに書かせました。もちろん内容のチェックはしてますけどね」と自慢気に述べた。
AIは、膨大なネットデータの中から適切なものを選び、それを組み立てて文書を作成する。専門家によれば「その作業スピードは人間のおよそ100倍から5万倍です。人間同士が何度も会議を繰り返して1年越しでやっと作成出来るレベルの報告書でも、AIならわずか10分で仕上げます。完成度は極めて高く、クオリティーも申し分ありません」とのこと。
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