日曜劇場でも「リボーン」でもない意外なナンバーワン「春ドラマ」 「波瑠」の演技力だけではない“好調の要因”とは
キャスティングとスタッフの妙
「まず波瑠と麻生のW主演でしょう。波瑠は2015年後期のNHKの朝ドラ『あさが来た』のヒロインを務め、今世紀最高の平均視聴率23・5%を記録しました。また、麻生はシリアスものからコメディまで何でもこなせる俳優で、お茶の間でも安心できる顔です。ほぼこの2人でストーリーが展開するので、キャスティングが多過ぎて誰を見ていいのかわからないということにもならない、とて見やすいドラマです」
確かにスッキリしている。
「そして“痛快文学ロードミステリー”と名付けているように、名作文学の知識で事件を解決する知的エンターテインメントを貫いています。タイトルはもちろん志賀直哉の『暗夜行路』のモジリで、たとえば、初回にモチーフとなったのは谷崎潤一郎『卍』、近松門左衛門『曽根崎心中』、アガサ・クリスティー『オリエント急行殺人事件』、江戸川乱歩『犬神家の一族』と、視聴者も“こんなインテリなドラマを見ている私って素敵”と知的好奇心を満たしてくれるところもあるのでしょう」
さらに、作り手の変化も大きいという。
「秋吉理香子さんの小説『月夜行路』(講談社)をTBSの『夜行観覧車』『リバース』で知られる脚本家の清水友佳子さんがテレビ向けの謎解きエンターテインメントとして仕立て直しました。さらに、日テレのプロデューサー・小田玲奈は情報番組の出身ながらバカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』と『ホットスポット』でドラマ賞を総なめにした若手のやり手です。さらに、同じく日テレのバラエティー班から『THE突破ファイル』や『沸騰ワード10』の演出家・水嶋陽を招き入れたのも大きい」
なぜバラエティー班をドラマに?
崖っぷちの戦略
「『突破ファイル』の再現ドラマは本物のドラマ以上の出来という評価もありますからね」
なぜそんな人選が生まれたのだろう。
「日テレの水曜22時台は1985年から続くドラマ枠で、同枠で歴代最高の40・0%を記録した『家政婦のミタ』(11年)はじめ『ごくせん』(02年)、『ハケンの品格』(07年)、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(21年)など人気作を放送してきました。しかし、フジテレビが真裏にドラマ枠を設けたことで24年に撤退。昨年4月に復活したものの4作連続で平均3%台が続き、再撤退が囁かれるほどでした。また、日曜ドラマ枠では23年末の『セクシー田中さん』ショックもあり、日テレのドラマ部はしょげ返っていたこともあります。そんな崖っぷちの中で、別部署からの人材投入が新しい風を吹き込んでくれたと思います」
とはいえ「月夜行路」の視聴率は5%台である。
「だとしても前作まで3%台だったのですから、ドラマ部はお祭り騒ぎと聞いています。この勢いを日テレが勝負をかける10月期の『俺たちの箱根駅伝』(主演・大泉洋)で爆発させようというわけです」
さらにその勢いを、来年正月に開催されるリアル「箱根駅伝」に持って行こうという魂胆か――。






