「正々堂々と身勝手な姿」こそ魅力 卒寿を超えて人気作家になった「佐藤愛子さん」の“愛子節”
愛子節
父、紅緑をはじめ佐藤家の人間模様を12年かけて執筆、2000年に『血脈』として完結する。金銭や女性関係など激情に身を任せた愚行を描き、悲惨さを超えたおかしさがあった。
91歳を迎えた14年、離婚した田畑と自分を題材に『晩鐘』を最後の長編小説として上梓。この後、『九十歳。~』で生涯最大のブームが到来。納得できない風潮を斬る「愛子節」は健在だった。〈怒ると私のエネルギーは燃え立つんです。(中略)気に入らない現象に対して怒るんであって、その現象を起した人を怒るとか嫌うとかいうことはないのね〉と先の「新潮45」で語っている。感情任せではなく視点は客観的で観察力に優れていた。
同作は18年に舞台化。演出した石井ふく子さんは、
「三田佳子さんが発案し佐藤さんに直談判して企画が進みました。佐藤さんは文章の通りさっぱりしていて正直な人。三田さんが息子さんの問題で批判された時、そんなに気にすることはないと励ましていた」
最後の言葉
娘夫婦と孫と暮らし、支えられていた。102歳の誕生日は老人施設で迎える。今年4月、娘の杉山響子さん、孫の杉山桃子さんとの共著『ぼけていく私』(文藝春秋)を発表していた。
4月29日に逝去。娘と孫のコメントによれば最後の言葉は「本当にありがたいねえ」だったという。
佐藤さんは人生をこう振り返り感謝していた。〈幸せだったと思います。面白かったなぁと。自分の好きなように生きました。妥協しないでね。周りは傍迷惑だったでしょうけど、ずいぶんわがままを許してもらえた〉(前出「新潮45」)
細工のない生涯を貫いた。
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