なぜ「THE SECOND」は若手の賞レースより熱いのか 「M-1」から強制退場させられたベテランたちの執念
トットが優勝
5月16日にフジテレビで放送された「THE SECOND ~漫才トーナメント~ 2026」が話題になっている。これは、2023年に始まった結成16年以上のベテラン漫才師限定の漫才コンテストである。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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「グランプリファイナル」と呼ばれるこの日の決勝戦に臨んだのは、金属バット、ヤング、タモンズ、黒帯、シャンプーハット、リニア、ザ・パンチ、トットの8組。トーナメント形式で出場者同士が一対一でぶつかり合い、最終的にはトットが優勝を果たした。
この大会が注目される理由は、単に「ベテランだけの賞レース」という企画自体の物珍しさにあるのではない。むしろ重要なのは、現在のお笑い界が「M-1グランプリ」以降の賞レース中心主義によって作られてきたという前提である。「M-1」は若手漫才師にとって最大の登竜門であり、そこで結果を出すことがテレビタレントとしての飛躍に直結する仕組みになっている。
だが、その仕組みは、出場資格を失う結成16年以上の漫才師を第一線の競争から押し出す残酷さを持っていた。芸人としての経験値はむしろ上がっているのに、「M-1」という物語からは強制退場させられる。「THE SECOND」は、そんな漫才師たちをもう一度、全国ネットのゴールデンタイムに呼び戻す装置なのだ。
今年の大会で印象的だったのは、優勝を決める最後の一戦が金属バットとトットの対決になったことだ。金属バットは「THE SECOND」という大会の存在意義を最もわかりやすく体現してきたコンビである。不良っぽい怪しげな外見の2人ではあるが、その実力は折り紙付きであり、この大会では唯一の4年連続決勝進出を果たしている。
一方のトットは、高校の同級生コンビであり、安定したしゃべりの技術と品の良さを備えながらも、全国的な大ブレークには至らず、足踏みを続けている印象があった。不良タイプの金属バットと優等生タイプのトット。対照的な雰囲気の2組が火花を散らす最後の戦いは見ごたえがあった。
勝負の決め手になったのは、トットの抜群の安定感だろう。「M-1」ではネタ時間が4分と決められているため、短い時間の中でどれだけ爆発的な笑いを作れるかが問われる。一方、「THE SECOND」のネタ時間は6分である。時間が長い分だけ、ゆったりしたペースでネタを進めることができるが、その間に観客の集中力を切らさず、楽しませ続ける本物の実力が求められる。
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