フジテレビ、異例の仰天人事 希代のヒットメーカーが「ナンバー2」に…「芸能人と飲み歩くようなこともない」実直な人柄

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立て直せるのか

 問題はフジの現状。清水氏と石原氏によって立て直せるレベルなのかどうか。フジの現実は次の通りである。先日発表されたばかりの各局の2025年度のCM売上高と制作費、年度の個人視聴率だ。()数字は順位である。

■日本テレビ
CM売上高 約2437億円
制作費 約895億円
全日帯(午前6時~深夜0時)3.3%(2)、ゴールデン帯(午後7時~同10時)5.1%(2)、プライム帯(午後7時~同11時)4.7%(2)

■テレビ朝日
CM売上高 約1867億円
制作費 約795億円
全日帯 3.4%(1)、ゴールデン帯5.2%(1)、プライム帯5.2%(1)

■TBS
CM売上高 約1761億円
制作費 約1000億円
全日帯2.7%(3)、ゴールデン帯4.5%(3)、プライム帯4.3%(3)

■フジテレビ
CM売上高 約840億円
制作費 約619億円
全日帯2.1%(4)、ゴールデン帯3.4%(4)、プライム帯3.2%(4)

 かなり厳しい。2025年度は人権侵害問題があったのでCM売上高が低いのはやむを得ないが、前年度も売上高は約1238億円と低く、やはり4位。個人視聴率は上位グループとの差が一向に縮まらない。 

 石原氏の意向も加えられたと見られる4月改編の後も上昇の気配が伝わって来ない。バラエティは視聴習慣の影響を強く受けるので、「超調査チューズデイ~気になる答え今夜出します~」(火曜午後7時)の個人視聴率が1.9%に留まり、同時間帯で最下位なのは分かるが、どうして生放送なのかが解せない。

 ワイドショーと同じスタイルで、VTRを流したあと、生放送のスタジオで受けている。それに何の意味があるのだろう。編集とMA(音声編集)ができる録画のほうが観やすいのではないか。

 一方で「サン!シャイン」(平日午前8時14分~同9時50分)の終了と同時にワイドショーを廃止した午前帯の改革は目下のところ成功している。代わりに拡大した「めざましテレビ第3部」(平日午前8時~同9時)と「ノンストップ! 第1部」(同9時~同9時50分)は2%以上の個人視聴率を獲り、TBS「ラヴィット!」(平日午前8時~同9時55分)の1%強をかなり上回っている。

 フジの午前帯のワイドショーには61年の歴史があるため、社内に惜しむ声もあったが、清水氏と石原氏に感慨はないと見られている。「2人は入社以来、ワイドショーに関わったことが一切ありませんから」(前出のフジ関係者)

 最大の問題は石原氏の得意ジャンルであるドラマだろう。フジにはプライム帯の連続ドラマ枠が5つ(1つは系列の関西テレビが制作)あるが、「夫婦別姓刑事」(火曜午後9時)と「LOVED ONE」(水曜午後10時)は死活ラインと言える2%を割っている。ちなみにTBS「日曜劇場 GIFT」(日曜午後9時)は4%を超えている。

 フジの両作品を観ていると、ロケの多さなどから制作費で苦労しているのが伝わってくる。新たな資金調達法を考えてもいいのではないか。

 なにより、フジの業績を深刻なまでに落としてしまった旧経営陣は去ったのだから、清水氏と石原氏は敗北の理由を分析すべきだ。負けの理由が分からないままでは勝つ方法が見えてこない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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