父の暴力に耐えていた母が…「全裸で顔を輝かせていた」 目撃してしまった小5の光景が42歳男性の人生をどう変えたのか
男の正体は…
体が入れ替わって男の顔が見えた。男は叔父だった。のちに、姉の養父であると知る人物である。雄輔さんは、そうっと窓から離れた。何をしているのかはだいたいわかった。当時、クラスの男の子の間ではそういう話が流行っていたからだ。医者の息子である友人が、「うちの父親の」と言ってエロ雑誌と医学書を持ってきて、男女のむつみごとを説明してくれたこともあった。
「そのときの気持ち? どう言ったらいいのかなあ。すごい場面を見てしまったわけだから、ある種のショックはありましたよ。ただ、それは母親がどうこうということではなく、絵面としてのすごさに驚いただけ。むしろ、あの“かわいそうな”母が、あんなふうに喜んでいるのがショックだったかもしれない。なんだ、母親もこんなふうに楽しんでいたのかと」
父が浮気をしていたのは、雄輔さんも知っていた。父が知らない女性を家に引き入れていたこともあった。母は、その女性に食事をさせ、父の部屋に連れていくのだ。
「大人に絶望感しかなかった」
父が父なら母も母だ。お互いに裏切り合って、それでもまだ夫婦でいる。大人は汚い。彼は本気でそう思った。
「情報量が多いでしょう、僕の子ども時代」
そう言って雄輔さんは苦笑いする。つまりはそれだけ、彼は周囲の大人のせいで、「子どもらしい楽しい時代」を過ごしていなかったのだ。当時は「わけのわからないことも多かった」し、母の浮気のように大人になるにつれてわかっていったことも、彼にとっては決して心温まる真実ではなかった。
「大人に絶望感しかなかった子ども時代だった」
信じることができなかった。誰のことも。彼はそう言った。
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大人に絶望し、誰も信じられないまま少年時代を過ごした雄輔さん。記事後編では、彼が女性との関係を重ねるなかで抱え続けた復讐心と孤独を紹介している。
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