父の暴力に耐えていた母が…「全裸で顔を輝かせていた」 目撃してしまった小5の光景が42歳男性の人生をどう変えたのか
祖父の次は父だった
これでようやく家の中が落ち着く。誰もがそう思っただろう。ところが今度は父が暴れ出した。あんなに自分の父親に困らせられたのに、今度は自分が「困った人」になってしまったのだ。
「これもあとから知ったんですが、父も実は母には暴力をふるっていた。祖父が大暴れするのが表だとしたら、裏ではそのストレスのためか父が母をいじめていたんです。祖父の死後、それがおおっぴらになった。でも祖母は見て見ぬふりでした。自分がつらかったのだから、止めてあげればいいのに、息子が妻を殴っているのを平然と見ていた。僕はいつも、間に入って父を止めようとしたけど、逆に殴り飛ばされていました」
小学校に入っても、家庭のことはいつも彼の心の重荷だった。父は地元ではちょっと知られた会社を経営していた。地元の不良少年を預かって仕事を教えることもあり、人格者と言われていた。表向きは立派に見えても、家の中では地獄の王者として振る舞う父に、彼は成長するにつれて嫌悪感を抱くようになった。
「父は祖父と違って、声を張り上げたりしない。何かあると母を呼び寄せていきなり頬を張る。母は土下座し謝っているのに、その母を足蹴にする。そんな感じでした。理由はなんだったんでしょう。僕が覚えているのは、珍しく機嫌がよかった父が夕食の卓につくなり、『なんだこれは』と言った。おかずが少ないということだったような気がします。その日は祖母の体調が悪くて、母は離れた病院に祖母を連れていって遅くなったんです。でもそんな言い訳を父は聞かない。こんなもの食えるかと、熱々のごはんを母の顔に投げつけた。母があわてて払うと、もったいないから食えと言う。母が顔についたごはんを口に入れると、『おまえはオレより先にメシを食うのか』と難癖をつけて頭を蹴った。もうやめて、おかあさんは今日は大変だったんだよと僕が間に入ろうとすると、母は僕を部屋から追い出した」
聞いているだけで息ができなくなるような気がしてくる。
閉ざされた玄関の先で
彼は警察に駆け込んだこともあったという。だが当時は民事不介入という感覚が強く、警察は助けにならなかった。警察に行ったことで、彼は母に叱られた。雄輔さんの家庭にとって、いちばん大事だったのは「体面」だったのかもしれない。
「小学校5年生くらいのときだったかなあ、家に帰ったら玄関の鍵が閉まっていたんです。母は出かけるときは必ず朝、そう言うはずなのにその日は何も言っていなかった。でも鍵は玄関の脇の植木鉢の下にあるはず。ところがその日はなかった。祖母はそのころ長期で入院していたから、誰もいないのかなと家の周りをぐるっと回ってみたんです。どこかの窓が開いているかもしれないと思って。当時はすべての窓に鍵をかけるような習慣もなかったから」
古い大きな平屋である。ぐるりと回ると、玄関からいちばん遠い、ふだんあまり使っていない奥の部屋から声にならない声のようなものが聞こえてきた。
「その部屋の窓は、ふだん鍵なんてかけてない。でも磨りガラスだから中は見えない。そっと窓に手をかけて隙間を作ると、母が男とむつみ合っていました。ふたりとも全裸で足が絡み合っていて。最初は僕、母が暴力を受けていると思ってしまったんですが、母の顔はキラキラ輝いていた。のけぞった喉の白さが今も忘れられません。押し殺した声が妙にエロティックでした。見てはいけないものを見てしまった。そう思ったけど、相手の男を確認したかった。だからしばらく片目だけで見ていました」
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