対処を誤れば、長期休職やうつ病に… ただの風物詩ではない「5月病」の恐ろしさ リスクを抱える人の特徴は?

ドクター新潮 ライフ

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組織側が実施できること

 最後に、組織側がすぐに実施できることをいくつかご紹介します。

・5月の1on1面談では、仕事の進捗を聞く前に「昨日は何時間寝られた?」や「食事の時間は十分取れた?」という、疲労の回復度を具体的に聞く。

・異動者や新卒者に対しては、5月の1カ月間は「サブ業務」のみに集中させ、責任の重い「メイン担当」からは外すことで、心理的負荷を意図的に下げる。

 続いて、5月を乗り切るための個人ができるメンタルヘルス対策についてです。

・平日の睡眠不足を土日で解消しようとしない。週末に10時間以上寝ると、月曜日の朝に「社会的時差ボケ」が発生し、5月病を悪化させる。

・5月に自分が周囲より遅れていると感じても、それは環境に誠実に反応している証拠と捉え、「適応の遅れ」を肯定する。

・5月の1カ月間、あえて社内イベントや意識の高い勉強会から距離を置き、自分の脳のリソースを守るための「戦略的撤退」をする。

・SNSでの他人の充実ぶりに過剰反応せず、デジタルデトックスを意識的に取り入れる。

・あえて何もしない日(No Input Day)を設定し、情報のインプットを停止して、既存業務の整理のみに充てる時間を確保する。

 企業にとっては、従業員の睡眠を守ることは、人材流出を防ぐための「最強のリスクマネジメント」であり、生産性を最大化するための「賢明な投資」です。5月病対策としての勤務間インターバルは、単なるメンタルヘルス対策を超え、「選ばれる企業」になるためのブランディングだといえます。

舟木彩乃(ふなきあやの)
心理学者、官公庁カウンセラー。筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学)。Yahoo!ニュース エキスパートのオーサ-として「職場の心理学」をテーマにした記事・コメントを発信中。最新刊『あなたの職場を憂鬱にする人たち』(集英社インターナショナル)。

週刊新潮 2026年5月7・14日号掲載

特別読物「季節の風物詩と思うなかれ 『5月病』の症状と対策」より

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