まるでダンジョンみたい…「2階だと思ったら3階にいた」「入口が多すぎて目的地に辿り着けない」 なぜ“公園のようなショッピングモール”は増えているのか

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緑を増やさない方が良いのでは

 禁欲的な時代背景も影響したと思われる。2000年代は平成不況に突入し、成金趣味な大理石などを使ったゴージャスな建築が嫌厭されるようになった。イケイケドンドンな時代は終わり、スローライフやロハスなどの言葉が生まれた。公園のような建築は、見事にそうした空気感にマッチしたのであろう。

 また、壁面に緑を配して蔦を這わせ、そこかしこに木や草を植えて緑化した建築は、コンクリートは無機質かつ無味乾燥であるといった批判を受けて流行し始めた。木材の質感を前面に押し出す建築が流行っているのは読者もご存じだろう。しかし、皮肉にも、こうした建築が「木材が腐った」などと批判の対象になっているのも承知の通りである。

 そもそも、緑化は完成したときこそ美しいのだが、手入れが非常に面倒くさい。花壇は頻繁に植え替えが必要になるし、それはロボットではなく人間が行わなければいけない。緑を中途半端に増やすと虫が湧くし、木の根がタイルを浮き上がらせるなど、植物を扱うのは難しい。結局、施設によっては植栽が放置される例も出てきているようだ。

箱型の建築に回帰するか

 さらに、公園のような建築を目指す割には、施設を公園のようには使えないのだ。中心に芝生で緑化した広場があったりするのだが、そこで子供が遊ぼうとすると「危ない」と怒られる。あれは禁止、これは禁止とルールばかりが増え、何にも使われなくなる。当初の理念通りに運用されている施設など、ほとんどないのではないだろうか。

 全国に誕生した公園のような建築の多くは、地域に対して開かれ、人が集まりやすい施設を造るという当初の目的を達成できていないように思う。単に使いにくい施設を粗製乱造する結果になってしまった気がしてならない。

 開業から数年しか経っていないのに、集客で苦戦している施設も増えていると聞く。構造が複雑な分、維持管理費も嵩む。10年後、どれだけの施設が維持されているだろうか。「やっぱり箱型の単純な施設の方が良い」ということになり、コンクリートとガラスを使った直線的でシンプルな建築に回帰するのではないかと思う。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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