まるでダンジョンみたい…「2階だと思ったら3階にいた」「入口が多すぎて目的地に辿り着けない」 なぜ“公園のようなショッピングモール”は増えているのか

国内 社会

  • ブックマーク

 近年、都心の再開発で建設される商業施設や、ショッピングモールを利用している人は薄々感じているかもしれないが、とにかく館内のどこに目的の店があるのかがわかりにくく、「迷う」のである。館内の通路は直線ではなく、ぐねぐねと曲がっていて、歩いているうちに方向感覚を失ってしまう。

 こうした「公園のような建築」は、「地域に対して開かれている」というのがウリで、「都市に緑を増やすことができる」「SDGs」などといった宣伝文句とともに、近年急速に増加している。しかし、利用者からは「使いにくい」「わかりにくい」と評判が悪いことも多い。いったいなぜ、こうした使いにくい建築が増えてしまったのだろうか。【文=山内貴範】

出入口が多すぎる

 公園のような建築は高層階こそ直線的な箱型であるものの、低層階は緑化を図るなど、ぐねぐねとした壁面を設けていることが多い。ユニークで写真映えする一方で、利便性という意味では致命的な問題がある。

 そもそも入口があちこちにあるので、どこから入ればいいのかわかりにくい。南口、北口、西口などの方角ごとに出入口があるのは当たり前で、公園口、広場口などと、複数箇所あることはザラだ。

 傾斜地に建てられている商業施設の場合は、メインとなる入口が1階ではなく、2階にあったりする。そのため、2階を目指してエスカレーターを上ったら3階に着いてしまうこともある。今自分が何階にいるのかわからなくなり、混乱してしまうのだ。

 エスカレーターで上に移動するのも楽ではない。2階まで上がったら、真横に3階行きのエスカレーターがある……と思いきや、そうはいかない。3階に上がるエスカレーターは別の場所にあったりするため、館内を歩かなければならない。エレベーターを使えばいいのかもしれないが、階が多いわりにエレベーターの台数が足りず、待てども待てども来なかったりする。

時代背景もあって爆発的に流行

 使いにくいうえに、動線がわかりにくい。おそらく、設計者は散策する楽しさを意図したのかもしれないが、急いでいるときは本当に困る。迷ってしまい、目的地に辿り着けないのだ。誰もが使いやすいユニバーサルデザインが叫ばれる中、明らかにそれに逆行しているのではないだろうか。

 こうした建築が増えた背景には、建築関連の法的な問題も影響していると思われるが、筆者が考える最大の要因は“ソフトの進化”と、単なる“流行”にあると考える。公園のような建築は、ソフトの進化によって自在に形を作れるようになり、構造計算もやりやすくなったという、デジタル技術の恩恵で造れるようになった要素が大きい。

 続いて、流行について見てみよう。基本的に文化は模倣によって広がっていくものだが、つとに建築のデザインやコンセプトは、絵画や彫刻の作風以上に真似されやすい。20世紀は箱型のビルばかりが増えてしまったように、誰かが面白いアイディアを考えると、それが世界レベルで爆発的に普及する傾向にある。

 公園のような建築は古くからあったが、安藤忠雄氏、妹島和世氏、伊東豊雄氏などが決定打になる作品を生み出したことで、2010年以降に爆発的に流行し、日本中に似たような建築が急増した。前述の建築家の作品は質が高いものだったが、その後の模倣品は、中途半端な出来になっているのは言うまでもないだろう。

次ページ:緑を増やさない方が良いのでは

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。