令和の学級崩壊は“静かに荒れる” 床に寝ころび、廊下をウロウロ…「多様性」の名で混乱する教育現場

国内 社会

  • ブックマーク

教員不足の一因にも?

 学校での教員の評価の指標の一つは、学級経営が成功しているかどうかだ。

“静かな荒れ”によって授業に差し障りが生じれば、管理職や保護者から教師失格の烙印を押されかねない。それがきっかけになって、教員が精神を病むことも少なくない。

 全国で教員不足が深刻な問題になっているが、その一因が教員の精神疾患による病気休暇や休職だ。精神疾患によって学校から離れる教員の数は年間に7,000人以上、1カ月以上の病気休暇を含めば13,000人以上になる。

 漫画『教育虐待』の取材で話を聞いたスクールカウンセラーの女性は次のように言う。

「教員がメンタルの不調を訴える最大の原因は、〈児童生徒への対応の困難〉です。対応困難な子供に対して適切な対処ができないうちに、他の子たちにまで悪影響が広がっていって学級崩壊が起こる。そしてそのストレスから心を病んで学校に来られなくなってしまうのです」

 授業中に勝手に徘徊する子供がいるのなら、教員が厳しく指導すれば済む話だろうと思う人もいるかもしれない。

 だが、今の時代にそれをすれば批判の的になりかねない。保護者から「体罰だ」「管理が過ぎる」「子供の自由意志を奪っている」とクレームが出るのだ。

 どういうプロセスでそうなるのか。漫画の取材で聞いた例を紹介したい。

注意されても聞く耳持たず…厳しく指導すると

 ある小学校の5年生のクラスに、授業中に勝手に歩き回る子供が複数いた。何度注意されても、みんなまったく聞く耳を持たずに同じことをくり返す。

 一人の子は発達特性が明らかに強い子だったが、他の子たちは決してそういうわけではなかった。むしろ、発達特性の強い子を真似して好き勝手をしているように見えた。

 ある日、教員がその子たちを個別に指導室に呼び出して厳しく注意した。このままでは授業が進まないので、もし席にすわっていられないのなら、別室登校にすることも考える、と。

 翌日以降、その子たちの保護者からのクレームが相次いで入った。

 ある親はこう言った。

「うちの子は、主体的な考えの持ち主です。立ち歩くのだって探求の一つでしょう。それを大きな声を上げて制限するなんて、先生は子供の主体性を否定するつもりですか」

 別の親は次のように言った。

「息子はちょっと発達の特性が強いんです。だから、じっとしていられない。それを否定するのは、障害のある子は学校に来るなと言っているのと同じです」

 管理職からはもう少し対応を考えるようにと注意された。そうこうするうちに、“静かな荒れ”は学級崩壊を引き起こした。

 先生はストレスから休職に追いやられた。

次ページ:背景に「多様性のはき違え」

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。