医大の「女子一律減点」問題を暴けるか 「42歳遅咲き女優」がシンママ新聞記者に
松本若菜が演じるのは新聞記者・檜葉(ひば)菊乃。いまだ男社会の新聞社で、社会部の検察担当(通称P担)だ。統和医大の裏口入学事件の周辺取材で、元講師(岩松 了)から不正入試の事実をつかむ。それは入試の「女子一律減点」という卑劣な差別だった。今期で最も骨太な作品だが、同時に魚の小骨が喉にひっかかるような感覚もある、「対決」の話です。
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菊乃はシングルマザーで、医大志望の娘・麻衣子(豊嶋 花)がいる。多忙な自分の代わりに家事をこなし、勉強も必死に頑張っている娘を思うと、女子一律減点は到底許し難い。菊乃は40を超えてから花形の社会部に異動。やっかみと陰口と嫌味、根も葉もない下卑たうわさまで立てられても飲み込んできた。男社会では声を上げないことが調和の秘訣(ひけつ)と耐えてきたが、娘や若い世代にこんな我慢や苦汁を経験させてはいけない。そんな思いから記事に書くことを決意するも、立ちはだかる壁は予想以上に高い。
そもそも政治家が馬鹿息子を裏口入学させた件で、女子一律減点の証拠となる資料も全て検察が押収済。大学側の証言者を探すも難航。というのも、大学側には職員の人望が厚くて(箝口令の迅速な浸透)、鉄壁の守り(隠蔽〈いんぺい〉)を誇る理事・神林晴海(鈴木保奈美)がいるからだ。晴海は事務畑出身の理事で、権威主義と男尊女卑の巣窟みたいな医大の理事会には珍しい。上り詰めた背景には、医師だった弟の死が関係している模様。未来ある若者と女性のために不正を追及する菊乃、医師の労働環境など、大学を内側から改革するために隠蔽を遂行する晴海。この二人が「対決」というわけだ。
回を追うごとに、菊乃が責められたり糾弾されたり追い込まれる展開が容赦ない。毎回菊乃の敵、というか、壁が変わるのもエグい。
まずは内なる敵。P担同僚・和藤由伸(今回ドチャクソむかつく役でけん引する山中崇)の言動がいちいち腹立たしい。「嫉妬」の文字を女偏から男偏にするべきと痛感させたが、菊乃も強烈なカウンターを食らわせたので溜飲は下がる。そして、不正は知っていても証言はしない医師たち(橋本 淳、陽月 華、渡辺真起子)の嘆きと怒りの本音には、菊乃も反論できず。医療現場の疲弊と限界に打ちのめされる。
また、晴海に直接会って証言を依頼するも、理論武装した鉄面皮には歯が立たず。「女の共感と理解」を前面に出した菊乃は完敗し、社会部では失望される。もうさ、こてんぱんなわけよ。
しかし、山は動いた。統和医大では教授によるセクハラで女子学生が自殺未遂という事件も起こる。全ての不祥事の隠蔽に走る晴海は、菊乃の身辺を調べて、麻衣子を特別推薦枠で統和医大に入学させると打診してきたのだ。怒り心頭の菊乃は断固拒否。ところが、それを伝えるとキレる麻衣子。母の独善に対するたまりにたまった不満と愚痴で責められてしまう。
誰のために闘うか。何のために闘うか。良心や正義感が根っこから剥ぎ取られそうになる展開。喉の小骨感は、根が深い性差別を容認してきた罪悪感なのかも。





