話題作「ママと神さまとシルヴィ・バルタン」にご本人が出演…「レナウン・ワンサカ娘」「アイドルを探せ」日本でも人気を誇った歌姫の現在

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シルヴィ=バルタン星人説の真相?

「ちょっとネタバレしますと、後半、現在のシルヴィ本人が登場します。撮影時79歳くらいのはずですが、実に美しい、とても老人とは呼べない“おとなの女性”で、またまた驚かされます」

 そんな現在のシルヴィが、劇中で「うたう」のだ。

「あるプライベートなパーティーでの場面ですが、『初恋のニコラ』をうたいます。彼女は、完全引退は表明していませんが、本格的なコンサート活動は終了しているので、ここは貴重な映像です」

「初恋のニコラ」(1979)は、故郷に残してきた初恋の少年ニコラがいまどうしているかを懐かしむ、せつない名曲である。日本では、天地真理がカバーした。

「なぜ、このシーンでうたわれるのが『初恋のニコラ』なのか。字幕に訳詞は出ませんが、歌詞がわかるフランス人は、みんな涙を流したと思います。このシーンは、パーティーに同席している、年老いたロランのママがポイントです」

 というわけで、かつてのシルヴィを知る世代のみならず、母子ものとしても老若男女が楽しめる感動の映画である。

 最後に、おなじみのシルヴィネタを。

「以前より、ウルトラマンに登場する〈バルタン星人〉の名前が、シルヴィ・バルタンから付けられたといわれてきました。確かに初登場の1966年は、シルヴィ人気の真っ最中でしたから、監督・脚本の飯島敏宏氏がシルヴィのファンで命名したのだ、と長く噂されてきました」

 だが、真実はどうもちがうようである。

「〈バルタン星人〉は、故郷の星が戦争で住めなくなったので、難民として宇宙をさまよい、地球にやってきました。そんな設定を、当時、紛争が絶えず“ヨーロッパの火薬庫”といわれていた〈バルカン半島〉にたとえて命名したのだそうです。ただ、〈バルカン星人〉では、あまりに直截すぎるので、すこし変えて〈バルタン星人〉にした。しかし、宣伝的にはシルヴィ・バルタンから命名したとするほうが話題性があるので、あとづけで、そういうことになった――どうも、これがほんとうのところのようです」

 とはいうものの……2013年のシルヴィ来日リサイタルで、舞台上にバルタン星人が登壇し、花束を贈呈しているのだ。
 
「あのときバルタン星人は(通訳を通じて)『お会いできてうれしいです。わたしは 《あなたのとりこ》なんです』とメッセージをおくり、シルヴィは『こんな家族がいるなんて、知らなかったわ』と苦笑していました。名前の由来がバルカン半島でもかまいませんが、あの微笑ましい光景のひとときだけは真実だったと、いまでも信じたいですね」

「ママと神さまとシルヴィ・バルタン」5月15日(金)より全国ロードショー
(C)2024 GAUMONT ー EGERIE PRODUCTIONS ー 9492-2663 QUEBEC INC.(FILIALE DE CHRISTAL FILMS PRODUCTIONS INC.) ー AMAZON MGM STUDIOS
配給 : クロックワークス

森重良太(もりしげ・りょうた)
1958年生まれ。週刊新潮記者を皮切りに、新潮社で42年間、編集者をつとめ、現在はフリー。音楽ライター・富樫鉄火としても活躍中。

デイリー新潮編集部

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